負担付贈与は貰った人もあげた人も税金が発生する可能性が?

負担付贈与は貰った人もあげた人も税金が発生する可能性が?

 負担付贈与とは、借金してアパートを購入している場合に、その借金とアパートどちらも贈与することを「負担付贈与」と呼びます。
負担付贈与では、もらった側も、あげた側も税金が発生してくる可能性があるのをご存知でしょうか?これから借り入れをして購入した資産を贈与する予定のある方は必ず理解しておきたい情報なのでぜひご覧ください。

負担付贈与は貰った人もあげた人も税金が発生する可能性が?

1.負担付贈与とは?

 負担付贈与とは、漢字の通り、贈与に負担が付いていることをいいます。どういうことかというと、借金をしてアパートを建築して、その借金付のアパートを贈与した場合を負担付贈与と呼びます。
例えば、1億円のアパートを贈与するかわりに借入金8,000万円を負担させる場合などです。

2.負担付贈与時の課税関係は?

 言葉だけの説明ですとイメージしにくいのでここでは例を使ってご説明していきます。
 
(例)
父は、15年前に土地を1,000万円で取得し、現在、土地は3,000万円に価値が上がっている。
父はこの土地を子供に贈与した。
また、父は借金が2,000万円あり、土地をあげる代わりに父の借金を子供が肩代わりすることとなった。
つまり、子供は借金を肩代わりする条件で土地をもらった。
負担付贈与 例
この場合、それぞれどれくらい税金がかかるのでしょうか?

【贈与した父】(負担付贈与の譲渡所得)所得税・住民税発生

  贈与した父については借入金相当額で、土地を譲渡したものとして取り扱われることになります。

借金相当額で売却したこととなるため土地の譲渡金額は2,000万円となります。また、土地は元々1,000万円で取得したことから、1,000万円で取得したものを2,000万円で売却したと考えるため以下の算式で計算します。

(2,000万円−1,000万円)×20.42%※=204.2 万円(所得税と住民税の合計)

つまり、1,000万円の儲けが発生したこととなり、譲渡所得に対して税金が20.42%かかることから204.2万円の税金が父に発生します。

※譲渡所得の税率は以下の通りです。

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下の土地や建物を売ったときの税額の計算の際の税率は所得税30%、住民税9%

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える土地や建物を売ったときの税額の計算の際の税率は所得税15%、住民税5%

(注) 平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。

【贈与を受けた子供】贈与税発生

 贈与を受けた子供については、土地の現在の価額から借入金の額を控除した額について父から贈与があったとみなされ、贈与税が課税されます。2,000万円借金して、3,000万円の価値の土地を取得した場合、1,000万円分は貰ったことになることから1,000万円に対して贈与税が発生します。

では、贈与税はいくら発生するのでしょうか?

(3,000万円−2,000万円-110万円)×30%※−90万円=177万円

上記の負担付贈与をした場合、贈与を受けた子供は、177万円の贈与税が発生します。

贈与税の計算方法は、簡単にわかる!贈与税の計算方法でご確認ください。
※贈与税の税率は以下のサイトからご確認頂けます。

3.負担付贈与に関わる税金のポイント

(1)贈与する財産の評価額に注意!

負担付贈与は、プラスの財産とマイナスの財産を一緒に贈与しますが、このときの『プラスの財産』の評価額がいくらになるのかが、状況によって異なります。

①通常の贈与税のプラスの財産の評価は?

通常の贈与税では、プラスの財産の評価は、相続税評価額となります。

相続税評価額は、取引時の時価よりも安い金額となります。

※相続税評価額については、下記でご説明致します。

②負担付贈与のプラスの財産の評価は?

土地や建物などが負担付贈与されるときには、相続税評価額ではなく、取引時の時価で評価されます。

通常の贈与と、負担付贈与では、渡した財産の評価額が異なります!!

【ポイント】

・通常の贈与では、プラスの財産の評価額は、【相続税評価額】

・負担付贈与で不動産を贈与した場合には、プラスの財産(不動産など)の評価額は、【取引時の時価】

(2)負担付贈与でも贈与する財産によって評価額が異なります!

不動産(土地や建物など)以外の負担付贈与であれば、贈与したプラスの財産の評価額は、相続税評価額なります。

しかし、不動産の負担付贈与の場合には、贈与したプラスの財産の評価額は、取引時の時価となります。

【ポイント】

負担付贈与で、贈与する財産別の評価方法は?

不動産以外の評価 ⇒ 相続税評価額

不動産の評価   ⇒ 取引時の時価

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4.相続税評価額とは?

(1)土地の評価方法

土地の相続税評価額は、路線価がある場合と、路線価がない場合で、評価方法が異なります。

①路線価がある場合の土地の評価方法とは?

路線価(千円/平方メートル) × 面積 × 補正率 =土地の評価額

※様々な条件の土地(角地、二方道路、三方道路など)があるため、補正率を乗じて計算します。

②路線価がない場合の土地の評価方法とは?

固定資産税評価額 × 倍率(地域ごとに算定) =土地の評価額

(2)建物の評価方法

建物の相続税評価額は、以下の算式で求めます。

固定資産税評価額 × 1.0 = 評価額

※建築中の場合など、状況に応じて減額があります。

5.負担付贈与契約書の見本

負担付贈与契約書

  贈与者〇〇〇〇(以下、甲という)と受贈者〇〇〇〇(以下、乙という)は、次のとおり贈与契約を締結した。

 第1条 甲はその所有する下記記載の建物(以下「本件建物」という)を乙に贈与し、乙はこれを受諾した。

     所在      〇〇市〇丁目〇〇番地〇〇
     家屋番号    〇〇番〇〇
     種類      居宅
     構造      木造瓦葺2階建
     床面積     1階 〇〇〇平方メートル

             2階 〇〇〇平方メートル

第2条 1.甲は乙に対し、平成〇〇年〇〇月〇〇日限り、本件建物を引き渡し、同時に所有権移転登記手続きを行う。
     2.本件建物につき、甲は乙に対し、現状有姿の状態で引き渡す。

     3.本件建物の所有権移転登記手続きに必要な費用は、乙が負担する。

第3条 本件建物に課税される公租公課については、所有権移転登記完了の日を基準として、登記の日までの分を甲、登記の日以降の分を乙の負担とする。

第4条 乙が次のいずれかに当たるときには、甲は本契約を解除することができる。

    1.前条の負担義務を履行しないとき。
    2.〇〇〇〇が前条の支払いを欲しない旨の申出があったとき。

    3.甲に対し、虐待もしくは重大な侮辱を加えたとき。

第5条 前条により本契約が解除されたときは、乙は甲に対し、直ちに本件建物を引き渡し、且つ、その所有権移転登記手続きをしなければならない。

 本契約を証するため、本書2通を作成し、甲乙がその1通ずつを所持するものとする。

          平成〇〇年〇〇月〇〇日
                     〇県〇〇市〇◯町〇〇番〇〇
                        (甲)    〇〇〇〇 印
                     〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番〇〇
                        (乙)    〇〇〇〇 印   

まとめ

 負担付贈与についてご理解頂けたでしょうか?
内容としては、借金付の不動産を贈与しているだけなのですが、贈与した側は、所得税や住民税が発生する可能性があり、贈与を受けた側は贈与税が発生する可能性があります。
どれくらい税金がかかるのかしっかり把握してからでなければ絶対に負担付贈与は行ってはいけません。
どうしても負担付贈与をしなければならないのであれば、税理士さんと必ず相談をしてから実行した方が良いでしょう。見切り発車で多額の税金が発生しないように注意しましょう。