個人事業主である父が息子に個人事業を事業承継させるには?

個人事業主である父が息子に個人事業を事業承継させるには?

個人事業を経営している父が高齢となり、息子に事業を承継したいとお考えの方は多いのではないでしょうか?

個人事業主である父が息子に事業承継させる場合、どのような論点があるのでしょうか?今回の記事では、個人事業主の方が知っておくべき事業承継の知識をご紹介しておきます。

個人事業主である父が息子に個人事業を事業承継させるには?

1、個人事業を事業承継するために必要な知識とは?

相続 親子

 個人事業では、個人が所得税や消費税などの税金を支払います。例えば、父が個人事業を経営しており、その事業を息子が承継したとします。

事業承継した後、息子が同一の事業を行ったとしても、父は父で納税が必要となり、息子は息子で納税が必要となります。つまり、それぞれが、納税義務を負うこととなります。

父が事業主として個人事業を経営していた期間は、父がその事業から生じる諸々の納税義務を負い、息子が事業を引き継いだ後は、息子さんが納税義務を負ういます。

よって、父は廃業にともなう税務上の手続きが必要となり、息子は開業にともなう税務上の手続きが必要になります。

(1)父の廃業に伴う手続きとは?

①所得税

まず、「個人事業の廃業届出書」を税務署に提出する必要があります。

個人事業の廃業届出書

また、アパートを経営していて不動産所得があるというようなことがなければ、青色申告を継続する必要がありませんので、「所得税の青色申告のとりやめ届出書」を税務署に提出します。

所得税の青色申告のとりやめ届出書

なお、相続による事業承継の場合には、あなたが亡くなった後4カ月以内に息子さんがあなたの所得税の確定申告(一般に「準確定申告」と言います)を行う必要があります。

準確定申告の参照HP

②消費税

父が免税事業者でなければ、税務署へ「事業廃止届出書」の提出が必要です。

事業廃止届出書

また、簡易課税制度を適用していた場合には「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」、

消費税簡易課税制度選択不適用届出書

免税事業者であるにもかかわらず、あえて課税事業者を選択していた場合には「消費税課税事業者選択不適用届出書」などがあります。

消費税課税事業者選択不適用届出書

なお、これらの届出書に「事業廃止の旨」を記載して提出する場合には、前述の「事業廃止届出書」を提出する必要はありません。

参照元 中小機構

2、父の個人事業を息子に事業承継するには、贈与する必要がある?

渡す

 父の個人事業を息子に事業承継させるには、父の保有している事業用資産等を時価で売却する方法が考えられますが、実務上贈与するケースがほとんどです。 贈与とは、無償で提供することとなりますので、このケースでは、父が息子に無償で事業用資産等を提供することとなります。

3、贈与したら、贈与税が発生するのでは?

贈与した場合には、贈与税が発生する可能性があります。まずは、今回のケースでは、どのように税金計算するのかをご紹介していきます。

(1)贈与税を少なくする実務上の贈与税の計算方法とは?

まずは、以下の2つに区分してください。

①不動産以外の事業用資産(預貯金、商品、売掛金、車両など)

※不動産を除くことで、贈与税を最小限にすることができます。こちらについては下記4でご紹介致します。

②事業用債務(買掛金、未払金、借入金など)

(2)2つに分けたものを使って贈与税を計算

まずは、上記(1)①と(1)②で分けた、資産と債務を差し引きます。

(①-②)の金額が110万円以下であれば、贈与税は発生しません。110万円以上であれば贈与税が発生します。

①-②の金額を『贈与を受けた財産の合計額』といいます。詳しい算式は下記でご紹介致します。

贈与税額の計算は以下の算式で求めます。

「贈与を受けた財産の合計額」-「110万円(基礎控除)」=課税価格

課税価格×税率-控除額=贈与税の額

贈与税の速算表

課税価格

税率

控除額

200万円以下

10%

-

300万円以下

15%

10万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1,000万円以下

40%

125万円

1,000万円超

50%

225万円

平成27年1月1日以降の贈与税の税率表

課税価格

一般税率
(一般贈与財産)

特例税率
(特例贈与財産)

200万円以下

10%

10%

200万円超~300万円以下

15%

15%

300万円超~400万円以下

20%

400万円超~600万円以下

30%

20%

600万円超~1000万円以下

40%

30%

1000万円超~1500万円以下

45%

40%

1500万円超~3000万円以下

50%

45%

3000万円超~4500万円以下

55%

50%

4500万円超~ 

55%

※暦年課税の場合において、直系尊属(父母や祖父母など)からの贈与により財産を取得した受贈者(財産の贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者に限ります。)については、「特例税率」を適用して税額を計算します。この特例税率の適用がある財産のことを「特例贈与財産」といいます。また、特例税率の適用がない財産(「一般税率」を適用する財産)のことを「一般贈与財産」といいます。(下記参照)

http://www.tokyozeirishikai.or.jp/general/zei/zouyo/

(計算例)

1/1から12/31までに、祖父から200万円、母から140万円もらった場合

1年間に贈与を受けた合計額:340万円

340万円-110万円(基礎控除額)=230万円(課税価格)

230万円×15%-10万円=24.5万円

4、不動産(土地、建物)は、どのように承継すべきなのか?

会社 建物

 事業用の土地や建物を父が保有している場合、仮に上記3で贈与した場合には、土地や建物の時価で計算することとなります。昔購入している土地は、時価が高騰しているものが多いため、高額な贈与税を支払わなければならない可能性があります。そのため、不動産を父から息子に贈与することは多額の贈与税が発生するためオススメではありません。では、不動産はどのように息子に承継させるべきなのでしょうか?

 事業用不動産は、父の所有のままにし、息子と父の間で『使用貸借』する方法がベターでしょう。

使用貸借とは、賃貸借とは異なり、権利金も毎月の地代も支払わず、贈与税もかかりません。不動産は、使用貸借にすれば、贈与税は発生しないと理解しておくことが大事でしょう。

また、使用貸借した場合のメリットは、使用貸借した不動産から発生した減価償却費や固定資産税、修繕費などは、息子の必要経費に算入することが可能です。

 使用貸借とは、言葉の通り、父と息子で貸し借りしているだけなので、父が死亡した場合には、息子が相続することで承継することが可能です。

まとめ

個人事業を事業承継したいという方は今後増加してくるでしょう。その際に、贈与税や、将来発生する相続税が絡んできます。複雑であれば、税理士に以来して、ベストな方法を選択し、手続きをすべて行ってもらうのがよいのではないでしょうか。



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