図解で解説!特別受益を受けた場合の遺産相続は?

図解で解説!特別受益を受けた場合の遺産相続は?

お子さんが何人かいらっしゃる場合、学費を出すのは親にとっては当たり前と思われていることでしょう。

この当たり前が、遺産相続時のトラブルとなる可能性もあるのです!遺産相続時に相続人の間に不公平が生じないようにするための制度「特別受益」についてご説明します。

図解で解説!特別受益を受けた場合の遺産相続は?

1.特別受益とは

相続とは基本的には均分相続(同一順位の相続人が複数いる場合は、相続分を相続人の数で均等に振り分ける)という考え方が現在の法律の考え方です。しかし、被相続人の生前に1人の相続人が学費や結婚のための費用などを支払ってもらっていた場合、「特別な財産の贈与(=遺産の前渡し又は指定)」となり、遺産相続時にその贈与を控除して計算し、相続人の間で不公平にならないようにするための制度を言います。

2.特別受益となる財産とならない財産

(1)遺贈

遺言書によって、被相続人の財産の一部あるいは全部を被相続人の死後に無償で贈与すること

(2)婚姻・養子縁組のための贈与

婚姻時の費用に関しては、特別受益に該当するものと該当しないとされるものに分かれます。参金や支度金などは、特別受益に該当する場合が多く、挙式や披露宴の費用などは、特別受益に該当しないとされる場合が多いようです。

(3)生計資本としての贈与

生計資本としての贈与は、学費や不動産の贈与を言います。学費に関しては、大学以上の教育が特別受益とされる場合が多いようです。場合によっては高校も義務教育ではないので、

特別受益に該当すると捉えることもあるようですが、扶養の範囲内と認められた場合は

特別受益には該当しません。不動産については、そもそもが高額なため特別受益に該当します。

(4)生命保険

保険金は遺産ではなく、相続人の固有の財産となります。そのため、特別受益には該当しません。ただし、受取る保険金の額がとてつもなく大きく、他の相続人と比較した時に不公平だとなった場合は特別受益に該当することもあります。

(5)死亡退職金

死亡退職金については、その性質によって特別受益となる場合とならない場合に分かれます。被相続人の賃金の後払いという意味になると特別受益となり、遺族の生活のためという意味になると特別受益に該当しないとなります。

(6)遺族扶助料

遺族扶助料は公務員が死亡した場合、その遺族に支給されるものです。この場合は、遺族の生活を保障するために支払われるものとなり、特別受益に該当しない場合がほとんどです。

3.特別受益者の範囲について

特別受益者とは、特別受益を受けた人の事を言いますが、この特別受益者の範囲は生前贈与があった時点で贈与を受けた人が推定相続人かどうかで判断します。推定相続人とは、現状の家族構成の中で想定される相続人を表し、相続が発生したときに相続するであろうことが想定される人を推定相続人といいます。

例えば、父から息子への贈与は特別受益に該当する可能性がありますが、祖父から孫への贈与は特別受益には該当しません。

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4.特別受益者がいる場合の相続の計算

特別受益者に該当する人物がいた場合、遺産に特別受益を加えた相続財産を算出し(特別受益の持ち戻し)、そこから各相続人の相続分を計算します。この結果、遺産額がゼロまたはマイナスとなった場合、特別受益者は相続分を受け取る事ができません。

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具体的に例で考えてみましょう。

「相続人には配偶者と子(長女・長年・次男)がおり、遺産は2,000万円です。長女は高校卒業後就職をしました。長男は大学院まで進学し、学費はすべて親が支払ました。(700万円)次男は現在、高校生3年生で進路を検討しています。被相続人が亡くなり、相続が発生しました。長女は弟(長男)は700万円の学費を出してもらったのだから、その分を遺産から引くべきだと考えています。」

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さて、これで無事解決!と思うところですが、よく考えてみましょう。もともとの遺産は2,000万円です。上記の金額をそれぞれに支払うと、以下のようになります。

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250万円足りなくなってしまいます。では、どうしたら良いのか。上記で出した金額を基に、それぞれが遺産の何割を取得できるかを計算することで、解決となります。

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無事に解決できました!!

 

5.特別受益の持ち戻し免除もあるので注意!

被相続人が「特別受益は遺産に含めない」という意思を表示することで、特別受益が遺産に含まれずに相続財産のみを分けるようにすることが出来ます。これを「特別受益の持ち戻し免除」と言います。これは、遺言でも口頭でも構わないようですが、被相続人が亡くなってから相続が発生しますので、口頭よりはきちんと遺言で行った方が揉める事なく免除できます。

(1)対象者と期間

特別受益の持ち戻し免除は相続人のみが対象となります。持ち戻しに関しては期間等の制限はありません。

(2)特別受益の持ち戻しが出来ない事もある

そもそも相続人が1人しかいない場合や、遺贈・生前贈与を受けた人が相続を放棄した場合、他の相続人が特別受益の持ち戻しを請求していない場合は特別受益の持ち戻しは出来ません。また、相続財産がマイナスの場合(プラスの財産が存在しない)場合や、遺言によって相続財産の分割がしっかりと指定されている場合も特別受益の持ち戻しは出来ません。

6.相続終了後に特別受益が分かった場合は?

相続終了後に特別受益が分かった場合、遺産分割を再度やり直すことが可能です。

ただし、相続が終了しているので、特別受益を受けていた人が再度協議するということに応じない場合や、音信不通になってしまった場合などはやり直しが難しくなります。

まとめ

特別受益は、遺贈の場合以外は生前贈与があったかどうかという部分での判断となり、かつその内容が遺産相続時の公平性にどのように関与するか、被相続人の生計上でどのくらいの価値の財産となるかなどによって判断が分かれる非常に複雑な内容と言えます。特別受益に該当する場合はもちろんのこと、特別受益に該当するか判断の難しいものに関しても、遺産相続の場できちんと公にすることで、円滑な遺産相続につながります。

また、身内のみで話合うことでの解決や判断が難しい場合は、遺産相続に強い税理士に相談することをおすすめします。

 



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