家族信託の7つのメリット4つのデメリットとは?

家族信託の7つのメリット4つのデメリットとは?

近年注目を集めている『家族信託』

この家族信託を利用しようかを検討している方も多いのではないでしょうか?

今回の記事では、家族信託を利用すべきかどうかを検討している方のために家族信託の7つのメリット4つのデメリットをご紹介していきます。

家族信託の7つのメリット4つのデメリットとは?

家族信託の7つのメリット

メリット1 高齢者の財産を保護できる

高齢になり、自分の資産の管理を子に任せたいと考えたとき、認知症などによって判断能力を失っている状態でなければ後見人をつけることができません。

このような場合には、親を委託者兼受益者、子を受託者として、親の財産について信託契約を行うことにより、自分に判断能力があるときから、子に財産の管理を任せることができます。

受託者は、信託法上、自分の財産と信託財産を区別して管理することが求められており、さらに、善管注意義務(善良な管理者として通常求められる注意を払って管理を行う義務)、受益者に対する忠実義務、委託者や受益者に対する報告義務、帳簿等の作成義務等を負います。そのため、受託者は、家族であっても、いい加減な管理を行うことができません。

このような受託者の義務の存在から、家族信託では、後見人をつけるような段階になくても、後見人をつけたのと同じような効果を得ることができます。

きちんと義務に従った管理がなされていれば、その後、相続が開始した場合にも、揉める要素が少なくなるでしょう。

メリット2 倒産隔離機能によって、財産が守られる

倒産隔離機能とは、受託者が破産した場合でも、信託財産は、破産財団に組み入れられないという機能のことです。

信託では、信託財産の所有権が受託者に移転します。

仮に、受託者が破産しなければならなくなった場合、受託者の財産は、一定額を除いて換価され、債権者への配当に充てられます。しかし、信託財産は、受託者の固有財産とは区別されますので、換価の対象となることはありません。

もっとも、最初から財産隠匿を目的とするような信託は、信託制度の濫用等と判断されることになるでしょう。

メリット3 財産の活用に関する受託者の裁量が後見人よりも広い

後見人は、被後見人の財産を管理する権利を持ちますが、あくまでも、財産を被後見人のために適切に使用することと、適切に維持することが求められます。

そのため、後見人が、被後見人の財産について、大きな契約をしたいときには、家庭裁判所にその理由を説明して許可を求めることが必要になります。

例えば、アパートを管理する場合、後見人は、入居者が退去して空き部屋ができたら、クリーニングして、次の入居者を探すことを不動産会社に依頼するでしょう。

一方、賃貸経営では、空室になったのを機に、大規模な修繕をしたり、建て替えをしたりした方が、収益力のアップにつながるという経営判断もありえますが、被後見人の財産を利用してそのような大きな契約をするということを家庭裁判所が許可することはかなり難しいでしょう。被後見人が、判断能力を失っている以上、被後見人が本当にそのようなリスクを伴う大きな財産変動を望むかどうか分からないからです。

つまり、後見人は資産の保全を求められ、資産活用を積極的には行えません。

アパートの賃貸経営について、家族信託では受託者に広い裁量を持たせた信託契約を行っておくことで、自身が判断能力を失ったあとでも、受託者の経営判断によって大規模な修繕を行なったり、建て替えをしたりして受益者のために収益力をアップするための積極的な運営を行うことも可能になります。

このように、家族信託では信頼できる家族や親族に資産運用まで任せることができます。

メリット4 財産ごとに管理者を変えることができる

通常、1人の被後見人について、後見人に選任されるのは1人か2人までです。その後見人が、被後見人の全財産を管理します。

一方、家族信託では、財産ごとに信託契約を行うことも可能です。

例えば、A不動産は長男に管理させ、B不動産は次男に管理させるというように、自分の財産ごとに、最適な人を受託者に選んでおくということもできます。

なお、後見と信託を比べていますが、後見と信託は対立するものではありません。信託には、身上監護権がありませんから、信託は後見と併用して利用することもあります。

メリット5 遺言では実現できない相続が可能になる

遺言では、自分の財産を受け継ぐ者を決めることができますが、その次に誰がその遺産を受け継ぐかを決めることができません。

例えば、Aは、自分の亡親から受け継いだ自宅に妻Bと2人で暮らしているとします。夫婦の間には子供はいません。Aの両親も妻Bの両親も他界していますが、Aには弟がいて、妻Bには妹がいるとします。

この状況で、Aが死亡すると、Aの相続人は、妻BとAの弟の2人で、その相続持分は、妻Bが4分の3、弟が4分の1です。

次に妻Bが亡くなると、妻の持ち分の4分の3は、妻Bの妹が相続します。

そうすると、Aとしては、自分が親から受け継いだ財産なのに、最終的には、妻Bの妹が4分の3の持ち分を持ち、自分の弟は4分の1しか持ち分を持てないという結果となることに釈然としない思いを持ちます。

これを解決するために、Aが自宅を弟に相続させるという遺言をして、弟には、妻Bの存命中には、妻Bに自宅を使用させてほしいと頼んでも、弟がそれを守ってくれるとは限りません。また、妻Bの遺留分の問題も生じます。

一方、Aが、妻Bに頼んで、妻Bの死後は、その持ち分をAの弟に遺贈するという遺言を書いてもらったとしても、妻Bがその後、遺言を書き換えてしまうかもしれません。

遺言を使って、Aの希望を実現することは難しいことが分かります。

一方、家族信託では、次のような信託契約が可能です。

自分を委託者兼第1受益者、適切な親族を受託者として、自宅の信託契約を行います。このとき、自分が死亡した後の第2受益者を妻としておきます。そして、第2受益者である妻が死亡したら、信託契約が終了することとし、残余財産の帰属権利者を弟や弟の子(甥)になるように設定しておくのです。

このような信託契約を行うことで、妻が生きている間は、妻に従前と変わらぬ生活をさせることができて、最後には、自分の家系に自宅が戻るようにしておくことができます。このような信託のことを跡継ぎ遺贈型の受益者連続信託といいます。

この他にも、遺言では実現できない自分の希望が、信託を利用すれば、実現できる可能性があります。他の法令(特に民法上の遺留分)や信義則、公序良俗などに反しない限度で、信託の仕組みはいろいろと考えていくことができるでしょう。このときには、税金も考慮しなければいけませんので、どのような信託を行って、自分の希望を満たしつつ、家族が幸せになるかということを信託に詳しい弁護士や税理士と一緒に考えることが必要です。

メリット6 事業承継を行いやすい

中小企業庁では、平成20年9月、「信託を活用した中小企業の事業承継の円滑化に向けて」と題した中間整理を発表しました。

中小企業庁HP参照

この中間整理の中では、

「中小企業の事業承継の円滑化を目的とする信託には、

①事業承継の確実性・円滑性

②後継者の地位の安定性

③議決権の分散化の防止、財産管理の安定性などの点でメリットがある」

と述べられています。

上記中間整理では、いくつか信託を利用した事業承継の方法が提案されています。現在、信託法や信託業法が改正されて間がなく、事業承継への利用についても、信託の制度は試行段階であるといえます。

これは言い換えると、事業承継の場面においても、信託にはたくさんの可能性があり、信託と会社法、相続に詳しい弁護士や税理士などと一緒に、自分や家族、そして経営する会社にとって最適な信託の方法を探していくことができるということです。

メリット7 受託者に高額の報酬を払う必要がない

信託銀行に受託者になってもらうと、高額の信託報酬を払う必要があります。しかし、受託者が家族であれば、信託報酬を無償とすることが可能であり、これが家族信託の一番のメリットであると言えます。

もちろん、受託者になってくれる家族には負担をかけることになるので、一定の信託報酬を払うことを契約の内容に入れてもかまいません。それでも、信託銀行に支払う報酬よりは低額ですむと思われます。

家族信託の4つのデメリット

このように様々なメリットで注目されている「家族信託」ですが、デメリットもあります。家族信託の4つのデメリットについて詳しく解説します。デメリットを知った上で、適切な財産管理の方法を選びましょう。

 デメリット1 成年後見や遺言のほうが適しているケースも

財産管理の代表的な方法として、古くから「成年後見制度」が利用されてきました。この制度は、判断能力が不十分になったとき初めて利用することができる点で、家族信託とは大きく異なります。

家族信託の場合、できることは信託財産の管理・処分のみに限られますが、成年後見であれば、本人の法定代理人として財産に関する法律行為(賃貸借・保証等)など、身上監護まで行うことができます。そのため、認知症の家族を保護する場合などにおいては、成年後見が適していると言えます。また、遺言書であれば財産そのものの相続先を指定することができますが、家族信託では財産の管理運用方法のみに権利が限られています。

デメリット2 信頼できる受託者の見極めが難しい

受託者は、原則として誰でもなることができますが、信頼できる家族を受託者にしないとトラブルになる可能性があります。信頼できる子供を受託者にした場合も、他の子供との関係を考えなくてはなりません。また、委託者に判断能力のあるうちに財産の名義が変わることに抵抗を感じる方もいるかもしれません。

デメリット3 節税効果はほとんどない

家族信託では、財産そのものは委託者のものです。そのため、財産を相続したときには相続税が、受益者に生前贈与したときには贈与税がかかります。家族信託とは、あくまで財産管理を目的とした制度であることを理解しておきましょう。

デメリット4 遺留分減殺請求をされる可能性がある

遺留分とは、複数いる相続人のうち配偶者・子・親だけに認められる、最低限財産を得る権利のことです。裏を返せば、相続した財産が遺留分を侵害している場合、侵害された法定相続人から遺留分減殺請求をされる可能性もあるということです。家族信託で受益権を得た場合、遺留分減殺請求をされることはありません。しかし、第一の受益者の死後、第二、第三の受益者も同じく遺留分減殺請求されないとは限りません。

このあたりは未だ判例もないため、あらかじめ遺留分減殺に備えた信託契約を結ぶことを推奨します。

このように、家族信託にはさまざまなデメリットもあることを理解した上で、利用するか検討しなければなりません。税理士や司法書士などの専門家に相談しながら、自分の持つ資産や、環境に適した財産管理方法を考えることが大切です。



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