遺言執行者が一人でない場合のよくあるご質問に回答していきます。
よくあるご質問 遺言で複数の遺言執行者が指定されていた場合の遺言執行方法とは?
回答
遺言によって、遺言執行者それぞれの職務が決められていた場合は、それに従いましょう。
民法1017条第1項に遺言執行者が複数いる場合、遺言者が任務の執行について「別段の意思を表示したときは、この意思に従う」とあり、遺言者が遺言執行者それぞれの任務について定めることができることが規定されています。
そのため、遺言によって、遺言執行者それぞれの職務が定められていた場合は、その定めにしたがって執行しなければなりません。
回答の解説①:遺言で職務を定めていない場合はどうする?
遺言で複数の遺言執行者のそれぞれの職務を定めていない場合はどのようにすればいいのでしょうか。
この場合民法1017条第1項には、それぞれの職務の執行については遺言執行者の過半数で決めることになる旨が定められています。
もっとも、保存行為は各遺言執行者が単独ですることができます。
保存行為とは、現状を維持する行為を指し、修繕をしたり、不動産の場合は保存登記をしたりすることなどが該当します。
例えば、相続財産である不動産の家屋の一部が雨漏りしているような場合、遺言執行者は1人で他の遺言執行者の意思とは無関係に修繕を依頼すること、自分で修繕することが可能になります。
そうしないと、財産の価値が下がってしまうおそれがあり適切ではないからです。
回答の解説②:民法1006条1007条で取り決め
遺言執行者は、遺言者が数人または1人を指定することになります。指定自体を第三者に委託することができるのです。この規定は、民法1006条第1項に定められています。
遺言執行者の指定の委託を受けた人は、遅滞なくその指定をしてから、相続人にそれを通知しなければなりません(同条第2項)。
この遺言執行者の指定も1人または数人を指定することができます。通知が必要なのは、相続人にとって、遺言執行者に遺言を執行してもらわないと、相続財産の権利関係がはっきりせず、相続財産の権利関係をめぐって相続人間で不安定な状態になるためです。
そういったことからも、遺言執行者の存在は重要ということが分かります。
もっとも、遺言執行者の指定について委託された第三者は、こうした委託について辞退することも可能になっています。この場合は、遅滞なく相続人に通知しなければなりません。
こうした遺言執行者の指定が遺言執行者へ通知されます。遺言執行者がその就職を承諾したときは、1007条により、遺言執行者として直ちにその職務を執行しなければなりません。
複数いる場合には、指定された職務にしたがって執行することになります。
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