相続人のひとりがタンスに眠っていた遺言を見つけて焦ってしまい、誤って遺言書を開けてしまった・・・。
遺品を整理していたら何も書いていない封筒を見つけ、あまり意識せずに封を開けて中を見てから遺言と気付いた。
この場合、何よりも気になるのは「遺言書が無効になるのでは?」との心配ですね。
今回は、誤って遺言書を開けてしまったときの対処法をご紹介します。
1. 誤ってあけてしまっても冷静に!
大丈夫です、遺言を空けたからといって、故人の遺志が無効になることはありません。
違法行為として5万円以上の過料が課せられる場合はあるものの、遺言にもとづく財産の分割は予定通り行われます(5万円の過料も十分大事ではありますが)。
ただ、遺言の内容にもとづいて財産を承継する相続人に「疑念」を持たれることは間違いありません。
「あいつ(開封してしまった人)が内容を確認して対策を始めたのではないか」と思われてしまうのはもちろん、なかには「あいつが内容を書き替えたのではないか」と疑いの目を向けられてしまうことも。
そのため、誤って遺言書を空けてしまった場合は迅速に家庭裁判所に赴き、開封をする検認手続きをすること。
その際は疑われないために、ほかの相続人も一緒に連れていくことをお勧めします。一人で動くとその分更に不信感を招いてしまうでしょう。
また、遺言を空けて先に見たがために、遺言の内容に他人が介在した、と認定されると遺言自体が無効となる可能性もあります。
2. もっとも避けるべき行動とは?
もっとも避けたいのは、開封を誤魔化そうと再び糊付けをしたり、開封者を分からなくする細工を行ってしまうこと。
万が一、これが明らかになって遺言書の偽造など不正行為をしたと見なされると、他の相続人から指摘され財産を承継するに相応しくない相続欠格者として相続資格を失う場合も。
このとき何より大切なのは間違ったことをしたら素直に謝りなさい・・・ではないですが、取り繕ってより大きな災難を招いてしまう前に、お詫びのうえ素直に状況を説明し、周囲の理解を得ることが大切です。
3. 相続人が誤って開封しないための、遺言作成者へオススメする遺言書とは?
ただ、自分ではなく相続関連の知識のない他人が空けたらどうしようという心配もありますね。
その場合は、遺言を書く人(被相続人)の生前に公証役場に赴いて「公正証書遺言を書く」という方法がお勧めです。
作成においては証人が必要なうえ、かかる費用も自筆の遺言に比べて割高のため抵抗がありますが、公証役場に預かってくれるため誤って開封する不安はありません。
その観点からも、公正証書遺言の作成をお勧めします。
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