未成年者が相続する場合の注意点とは?

未成年者が相続する場合の注意点とは?

お父さんが若くして亡くなってしまった場合など、状況によっては未成年者が相続人となる場合があります。
未成年者であっても相続人となる権利は当然に持っているのですが、未成年者にはまだ大人と同じ判断力が備わっていないと考えられております。
未成年者が相続人となった場合に、周りの大人と遺産の分け方について対等に話し合いをすることは難しいですよね。
未成年者が相続人となった場合にはどのような注意点があるのかご紹介しましょう。

未成年者が相続する場合の注意点とは?

1.未成年者は法律行為ができない

罰則

法律行為とは?

未成年者は原則として自身の判断で法律行為を行うことができません。

法律行為とは法律上の一定の効果を生じさせる行為をいうのですが、売買や贈与、相続における遺産分割などもその一つとされます。
ですから未成年者が自身の判断で法律行為を行った場合には、あとで取り消すことができるようになっています。
これは未成年者には大人と同様の判断力がないことから法律によって保護しているということなのです。

未成年者が法律行為を行うには?

未成年者が法律行為をする場合は、法定代理人(一般的には親)の同意を得ることになります。
法定代理人の同意を得ることによってその法律行為が有効なものとなるのです。未成年者が携帯電話の契約をするときに親の同意が必要になるのはこのためです。

2.相続における代理人

法定代理人(一般的には親)を代理人にしない方が良い?

遺産分割協議によって財産を取得したり、または、遺産を取得しないという意思表示である相続の放棄をしたりする行為も法律行為となります。

ですから、「1.未成年者は法律行為ができない」でお話しした通り未成年者は自身の判断でこれらの行為を行うことはできません。

ただ、相続に関しては法定代理人を代理人とすることが適当でない場合があります。

なぜ、法定代理人(一般的には親)を代理人にしない方が良いのか?

それは、相続に関してはその未成年者の親は同じく相続人の立場にあることが多く、そうなった場合には未成年者と親はお互いに亡くなった方の財産を取り合う関係になり、その未成年者を保護するための正しい判断ができなくなってしまうからなのです。

具体的にはどんな状況?

たとえば、お父さんが亡くなった場合に、残された家族が「お母さん」と「未成年者である子供」という状況だったとします。

この場合、お母さんと子供はともにお父さんの遺産を取り合う立場にあることになります。

お母さんが代理人として認められれば、お母さんは子供の意思に関係なく遺産を好きに分けることができてしまいます。

極端にいえば、お母さんがすべての財産を取得するという遺産分割協議書を作成し、そこに子供の代理人として署名捺印してしまうことも可能になるのです。

これでは、未成年者を保護するために設けられた法定代理人の制度の趣旨と異なることとなります。
その為、相続においては法定代理人に代えて特別代理人と呼ばれる人を決めてその特別代理人が未成年者の代わりに遺産分割協議などを行うことになるのです。
これにより未成年者の利益を保護するための法律行為が有効に行われることになるのです。

3.特別代理人とは

誰 who

特別代理人は家庭裁判所に申立てを行うことによって選任されます。
2.相続における代理人」の例でいうならば、お母さんはお父さんが亡くなって自分と子供の間で利益が相反することとなった場合には、子供のために特別代理人を選任するための申立てを家庭裁判所に行わなければなりません。
その申立てについての手続きは下記のとおりとなっています。

※利益相反とは、一方が利益になり、他方は不利益になる行為

(1) 申立人

親権者(親など)や利害関係人

(2) 申立先

子の住所地を管轄する家庭裁判所

(3) 必要な費用

  • 収入印紙800円(子供一人について)
  • 返信用の郵便切手

(4) 必要な書類

  • 申立書
  • 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 親権者などの戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 特別代理人候補者の住民票または戸籍附票
  • 利益相反に関する資料

特別代理人の申立てをするにあたって特別代理人の候補者を申立書に記載することになりますが、特別代理人となるために特に資格などは必要ありません。

未成年者の利益を保護するために選任されることを考慮し、利害関係のない方で適当と思われる方を選ぶことになります。

また、必要な書類の中に利益相反に関する資料とありますが、これは遺産分割の場合には遺産分割協議書の案であり、これは未成年者が不利益にならないように提出することになります。

4.未成年者の相続放棄

相続放棄とは、相続人の地位にある方がその地位を放棄することで、相続放棄の手続きを取るとその相続に関して最初から相続人でなかったものとして取り扱われることとなります。
相続放棄の手続きも未成年者が独自に行うことができないため、代理人により行われますが、法定代理人(親など)は子供を相続放棄させることで財産を独り占めできるような利益相反の関係にありますので特別代理人により手続きが行われることとなります。
ただし、たとえば親子一緒に相続放棄をする場合や親が先に相続放棄をしている状況で後から子供の相続放棄をする場合などは利益相反になるとは考えられないため法定代理人である親が手続きを取ることができます。

5.未成年者控除

相続税の計算では、未成年者については税金を少し下げてもらえる未成年者控除とよばれる規定の適用が受けられます。

相続で財産をもらった人が未成年者である場合には、その未成年者が20歳になるまでの養育費は遺産から支弁するべきという考え方から次の算式で計算した金額を相続税額からマイナスしてもらえます。

100,000円×財産をもらった人が20歳に達するまでの年数

まとめ

相続人の中に未成年者がいる場合には、特別代理人の選任という手間が一つ増えることになります。
未成年者を守るための制度にはなりますが、より専門性が求められることになりますので注意が必要となります。
相続に関しては専門家の知識が必要となることが多いですので、相続のことでお悩みの方、ご心配の方はお早めに専門家に相談されることをお勧めします。
相談するタイミングが遅れることで、税額が大きくなるケースも多々ありますのでお気を付けください。
 
関連論点を記載しておきますので、ご参照ください。


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