『相続放棄』5つのポイント

『相続放棄』5つのポイント

相続放棄を実際に行う方が意外と多いのはご存じでしょうか?
その件数、年間約15万件以上あると言われております。
今回は相続放棄をする前に理解しておかなければならならないことを簡単にご説明しておりますので、相続放棄を検討している方はぜひご参照ください。

『相続放棄』5つのポイント

1.相続放棄とは

放棄2

相続の放棄とは、民法915条1項に定める手続きをいいます。そこには、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」と規定されています。

この相続には、亡くなった人(被相続人)の積極財産のみならず、消極財産も含みます。消極財産は、負債をいいますから、相続は、負債を受け継ぐことにもなるということができます。

イメージをしやすいように、わかりやすい典型例にいいかえると、お父さん・お母さん・一姫二太郎の家族において、お父さんが亡くなった場合に、残された家族である母、長女及び長男の3人は、
「お父さんが亡くなって自分が相続人になると知ってから3か月以内に、お父さんの財産を受け継ぐかを決めてください」
という定めということができます。
いわゆる、遺産をもらわないことにするわけなので、実際に利用される方は、遺産の中に、多額の借金があって、遺産を受け継ぐことが難しいという方というだろうといえます。

 この制度は、平成15年に新受件数として約14万件を記録して以降、増加傾向にあり、平成19年では、約15万件となっております。意外に多くの相続において利用されていることがわかります。

2.相続放棄の利用シーン

 このように実際の相続においては、亡くなった方に多額の借金があったケースのみではなくて、以下のような場合に相続の放棄の手続きが利用されます。

 ① 積極財産より、消極財産の金額の方が明らかに多額であることが見込まれる場合

 ② お金の多寡よりも相続争いに巻き込まれたくないという相続人の希望がある場合

3.相続放棄の手続き

相続放棄 手続き

さきほどの例でいうと、お母さん、長女及び長男の各相続人が単独で、通常は、お父さんが亡くなった時から3箇月以内に、相続放棄申述書を提出することになります。
これが正式に受理されると、相続放棄申述受理通知書が送られてきます。
これによって、各相続人は、被相続人が亡くなった時から、相続人ではなかったことになりますので、基本的には相続にかかる法的な問題からは解放されることになります。

具体的には、各家庭裁判所のHPにアップされております相続放棄申述書に、被相続人の住民票除票、相続の放棄をする人の戸籍謄本、収入印紙800円等必要書類を添えて、亡くなった方の住所地を管轄する家庭裁判所にて、申し立てをすることになります。

4.相続の放棄の例外的な期限の延長

既述の原則の確認であるが、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」です。「自己のために」とあることから、他人の相続を知ることは無関係であり、自分のために相続の開始されたことを知った時から3か月が経過することになります。

そのため、「自己のために相続の開始があったことを知った時」はいつなのかは、重要といえます。

この点、判例は、「相続が開始したこと」及び「自己が相続人になったこと」を覚知した時をもって起算点とすると考えられていたが、これに例外をもうけて、「相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算」するとした。

自分のために相続が開始し、自分が相続人であることを認識した場合であっても、一定の場合には、起算点がスタートしないことがある場合を裁判所は認めていることが大事な点となります

なお、この3箇月以内に相続放棄をしようか迷っている相続人が亡くなった方(被相続人)の相続財産の状況を十分に調査しても、相続放棄をするのかどうかの決定をすることができない場合には、家庭裁判所は、申立てにより,この3か月の期間を伸長することができます。
こちらは、3か月の期間の延長を希望する場合で、一定の要件を満たすときに利用をすることができる制度ということになります。

5.遺産分割協議、遺留分、生前の放棄との関係

 最後に、相続の放棄という亡くなった方の借金から相続人を開放する制度の利用に際しての留意点を3点ほど、簡単にご説明します。

 亡くなった方(被相続人)の債権者(金を貸した人)との関係では、さきほどの例でいうと、お母さん、長女、及び長男で話し合って、遺産分割協議中で、相続を放棄すると書面にしたり、もしくは、口頭で合意をしたとしても、法的には、認められないということです。
相続の放棄は、あくまでも、「裁判所」に認めてもらう必要があるということになります。

次に、最初に確認をしたとおり、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に」に相続の放棄の手続きを利用することができます。つまり、相続の開始があったことを知る前に、この制度を利用することはできません。
すなわち、相続開始する前の相続放棄は認められておりません。この点、遺留分の放棄と相続の放棄は異なる制度ですので、遺留分の放棄をしているからといって、相続の放棄をしていることになるわけではないことには留意をしてください。また、相続の開始前に、相続人間で約束した相続の放棄も法的に認められるわけではありませんので、ご留意をください。

そして、3点目として、3か月以内に、相続の放棄をしないことは、相続の放棄をしなかったとみなされると民法に定めがあります。3箇月という時間には十分にご留意をください。また、それ以外にも、放棄を検討している人が相続財産を処分した、隠匿したというようなケースでは相続放棄をしないとしたものとみなすこととされておりますので、ご留意をください。

6、自分で相続放棄をした場合の失敗事例

相続放棄では、多くの失敗事例があります。

・相続放棄を軽く考えすぎて、結局、期限に間に合わなかった

・3か月以内の期限に間に合わなかったことの「特別な事情」で間違えた

・処分してしまった遺産ついて、裁判所にうまく意図が説明できなかった

・親族全員放棄したかったが、次順位の相続人が地方に散らばっており、うまく取りまとめできなくて、放棄できた人とできなかった人が出てきてしまった。

上記のような失敗をしたないためにも、相続放棄を専門にしている司法書士に頼むことをオススメしております。

まとめ

相続の放棄は、まず、放棄するのか、しないのか。その判断をするためには、相続財産がいくらあるかを把握することが大切となります。相続放棄は基本的に3ヶ月以内に、手続きが必要になりますので、相続放棄を検討している場合には、早めの準備をオススメしております。

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