生命保険による相続税対策のメリット・デメリット

生命保険を利用して相続税の対策が出来ると聞いたことはあるが、どのように活用していけば良いかわからないという方が多いのではないでしょうか?生命保険を利用して相続税の対策をすることが出来ますが、そこには、メリットやデメリットが存在します。

今回の記事では、生命保険を利用した相続対策のメリットやデメリットだどを簡単にご説明させて頂きます。

1.相続税対策で生命保険対策は有効なのか?

残された遺族のために財産をたくさん残すのは重要です。
しかし、相続が「争続」にならないようにするのはもっと大切かもしれません。残されたご家族の幸せを願って、必ず遺産分割の対策を取りましょう。 
では遺産分割の相続税対策とはなんでしょうか。

それは、

(1)円満な財産分与(財産を上手くわけることが出来れば争いはおきない)
(2)納税資金の確保(納税資金を確保出来なければ土地や家を売却しなければいけないことも)

(3)相続税の節税(生前に対策する必要があります)

の3つといわれます。

生命保険を利用することで、上記(2)納税資金の確保はすることができます。

 被相続人が亡くなってしまったことで、相続が発生し相続税が課税される際に、相続があった日から10ヶ月以内に相続税の申告と納税を済まさなければなりません。
相続税は現金一括払いが原則で、現金がなければ不動産(土地、建物)を売るなどして現金を調達する必要があります。
生命保険の積立を行っていれば、相続が行われるときには、死亡保険金としてまとまった現金が家族に支払われます。
そのため「相続財産が土地ばかりで現金がなく、相続税が払えない」という問題を簡単に解決できます。
つまり、生命保険を活用することで『納税資金の確保』をすることができます。

2.生命保険を利用した相続税対策のメリットは?

メリット

 生命保険を使った相続税対策のメリットは4つあります。

メリット1 「非課税枠の活用」

 生命保険の死亡保険金は相続税の対象ですが、遺族の生活を守るために「500万円×法定相続人の数」だけ非課税枠が認められています。
現金だとそのままの金額が相続税の対象になりますが、生命保険の死亡保険金で受け取ると非課税枠分を控除した金額に対して相続税が課されるため、現金で受け取るより税額が少なくなります。
つまり、現金をたくさん保有しているような資産家であれば、相続税の対象となる現金を保険に変えておくだけで節税が可能です。
例えば、相続人が妻と子ども3人だとすると、非課税枠は2,000万円(500万円×4)になり、妻だけが保険金を受け取った場合でも、2,000万円分を保険金から差し引くことができます。
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※非課税枠の活用時の注意点

相続税を節税するための方法として、『生命保険による死亡保険金』に相続税の非課税枠があるということをご説明させて頂きましたが、『死亡退職金』にも同じように、相続税の非課税枠があります。

【死亡退職金の非課税枠とは?】

死亡退職金は、一定の金額まで非課税枠があるため、相続税は発生しません。

一定の金額とは下記の算式の通りです。

死亡退職金の非課税枠= 500万円×法定相続人の数

算式は、死亡保険金の非課税枠と同じです。

死亡保険金の非課税枠= 500万円×法定相続人の数

 一番の注意点としては、どちらか一つを利用できるわけではなく、それぞれ別枠で利用できるということです。

(注意点)

解約返戻金も相続税の計算対象になりますが、相続税の非課税である『500万円×法定相続人の数』は、死亡保険金が発生した場合に利用できるものです。
そのため解約返戻金では、ただ解約しただけで、死亡して保険金を受け取ったわけではないため、非課税枠は利用出来ないということを覚えておきましょう。

メリット2 「遺産分割を円満に行える」

一般家庭に多い相続財産は自宅と預貯金、生命保険の死亡保険金です。
生命保険は、明確な遺言書がなく遺産分割協議(遺産を誰に渡すかの話し合い)になっても、死亡保険金の受取人が決まっているので相続しやすいのです。
遺言書に記載されている内容が、法定相続人が遺留分(最低限相続できる財産)を侵害した場合でも、死亡保険金は遺留分の対象にはなりません。
遺したい人に確実にお金を渡せるので、親族間のトラブルを回避することができます。
【争いの事例】

メリット3 葬儀費用や納税資金などまとまった現金をすぐに調達できる 

生命保険を利用することで、葬儀費用や納税資金のために現金が必要となった場合にもすぐにお金の調達が可能となります。
名義人の死亡時点で、金融機関の預金は「相続財産」の扱いとなり、遺産分割協議が整うまでは、預金の引き出しができません。
各金融機関によって方法は異なりますが、預金を引き出すには遺産分割協議書、相続人の印鑑証明書、戸籍謄本などの書類を提出する必要があるため、手続きに相当な時間がかかります。
これに対して死亡保険金は、受取人が請求手続きをすれば、5~10日程度で受取人が指定する口座に支払われます。
《葬式費用についての関連記事》

メリット4 銀行に比べ利息が良い

加入する保険にもよりますが、一定期間経過した後に返戻率が105%程度になる商品も多いため、銀行に比べれば保険の方が、利息が高いと言えるでしょう。

3.生命保険を利用した相続税対策のデメリットは?

デメリット

(1)生命保険は、契約者、被保険者、受取人が異なると課税関係が変わる?

生命保険は契約者と被保険者、受取人が異なると死亡保険金にかかる税金が違ってくるので、契約には細心の注意が必要となります。
せっかく遺族のためを思って財産を残したのに迷惑がられては悲しいですよね。

(2)保険金を受け取った場合の受取人に発生する税金の種類は?

生命保険は、『死亡保険金を受け取ったとき』と『満期返戻金を受け取ったとき』では、受取人に発生する税金が異なります。そのため、この2つに分けてご説明致します。

①死亡保険金を受け取ったとき

保険料の支払者
被保険者※
死亡保険金受取人
課税関係
・所得税
・死亡保険金を一度に取得した場合には一時所得
・年金形式で受け取った場合は雑所得
妻又は子供
・相続税
子供・贈与税
※ 被保険者=保険をかけられた者(この人に何かあった際に保険金が支払われます)
 

【上記の3パターンで一番節税できる契約は?】

一番節税しやすい契約は、下表のように契約した場合でしょう。

保険料の支払者

被保険者

死亡保険金受取人

課税関係

妻or子供

相続税

妻か子供が受け取った保険金には相続税が適用されます。

相続税の計算では、『基礎控除』『生命保険による非課税枠※』を控除するため、高額な保険金でない限り、非課税になると考えておけばよいでしょう。

また、受取人が妻(配偶者)の場合には、『配偶者の税額軽減※』が適用できるため、法定相続分又は1億6千万円までなら非課税となります。

未成年の子供が相続する場合には、注意点があります

未成年者が相続する場合の注意点とは?を参照ください。

知らないだけで大損に!相続税の基礎控除のすべて

配偶者の税額軽減で相続時1億6千万円までの財産は無税に!

②満期返戻金を受け取ったとき

保険料の支払者
満期返戻金の受取人
課税関係
・所得税
・満期保険金を一度に受領した場合には一時所得
・年金形式で受け取った場合は雑所得
・贈与税
(注意点)
相続税よりも所得税や贈与税のほうが高くなるケースがあります。これでは本末転倒なので保険証書をじっくり見直してください。
不安がある場合は、保険会社や税理士などの専門家に相談するなど、相続人の負担が少なくなる遺産相続を目指しましょう。
 

《生命保険を活用するまでの手順》

まず保険の見直しや新規加入する前にご自身の財産の洗い出しをします。
貯金、株式、不動産、生命保険など各財産を把握して、誰にどの財産を遺すのか明らかにしましょう。
そして各項目で発生する相続税を把握し、分割に不公平はないか、納税資金は準備できているかを確認します。
相続人の負担が大きくならないように生命保険のメリットを活用して、受取人と保険金額を決めましょう。 

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4.生命保険を利用した生前贈与で相続税対策を!

生前贈与される財産として最も一般的なものが現金や預貯金です。しかし、多額の現金や預貯金をお子さんに渡してしまうと、金銭感覚が狂い無駄使いをしてしまうかもしれません。
現金や預金は簡単に使うことができますが、生命保険は簡単に使うことができません。
現金を生命保険に換えるだけで、親の死亡時まで現金が無駄遣いされることなく確実に貯金をしておくことができます。
生前贈与をすることで、現金は相続財産ではなくなるため相続税の節税にもなります。ま
た、生前に贈与する現金を年間110万円以下に抑えることができれば、贈与税もかかりません。

(1)生前贈与で生命保険を利用するための注意点

①親から子供にお金を贈与する(子供への生前贈与で節税を)

(注意点)

親から子供にお金を贈与する際に、年間110万円までであれば贈与税は発生しませんが、贈与契約書は作成しておくべきでしょう。

その理由は、名義預金とみなされないためです。詳しくは

2.名義預金とみなされないための対策とは?

こちらの記事に記載されておりますのでご参照ください。

②子供が契約者(保険料支払者)、親を被保険者として保険に加入する

(注意点)

親から子供に贈与されたお金で、子供が生命保険の支払いをする必要があります。そのため、生命保険料は、子供の預金通帳から引き落とされるように契約してください。また、親の確定申告をする際に、その保険料分は、生命保険料控除を受けないでください。生命保険料控除を受けてしまうと、親が保険を支払っているという実態になってしまう可能性があります。親が支払ってしまうと、そもそも、親から子供にお金を贈与していなかったと判断される可能性もあるでしょう。

(2)相続税対策をするためには、どんな保険に加入すべきか?

生命保険には大きくわけると3つの種類あります。

・定期保険

・終身保険

・養老保険

相続税の非課税である『500万円×法定相続人の数』を利用するためには『終身保険』に加入する方が多いです。
もちろん状況によって、3つのどれに入るのがベストなのかは変わってきてしまいます。そのため、みなさまにとってベストな保険に加入するためにも、保険屋さんや、相続専門の税理士に相談した上で検討すべきでしょう。 

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5. 生命保険を利用した相続税対策は孫にも使えるか?

子の世代を経由せず一代飛ばして孫に財産を相続すると、通常の1.2倍(20%加算)の相続税がかかりますが、 2回の相続が1回で済み、相続税の課税の機会が減るため、トータルで見れば相続対策になることがあります。

 つまり、本来であれば、親の財産は子供に相続されるので、これが1回目の相続。

その子供が死亡すれば、その子供の子供いわゆる孫が相続しますので、これが2回目の相続です。

二度相続すると、二度税金を取られる可能性があるため最初から孫に相続させることでトータルの相続税は安くなるケースがあります。 

相続人ではない孫が受取人になっている死亡保険金は、遺贈(遺言による贈与)ということになり相続財産に含まれます。
また、相続人ではないということで、通常の保険金非課税枠「500万円×相続人数」は適用できません。つまり孫が受け取った保険金については、その全額について相続税の対象となるということです。 
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6.遺産放棄した場合、生命保険を受取る権利はあるのか?

 親族が亡くなった際、相続人は3か月以内に家庭裁判所で手続きすることで財産に関する一切の権利や負債の返済義務などを受け継がない「相続放棄」を選択することができます。

 さて、相続放棄をした人は、死亡保険金を受け取ることができるのでしょうか。

 答えは、死亡保険金は相続財産ではなく保険金受取人の固有の財産とみなされ、相続放棄をした人でも受け取ることができます。

 (例)
契約者・被保険者→父(死亡)

死亡保険金受取人→子

死亡保険金は、亡くなった父ではなく受取人である子の固有財産になるので、子が相続放棄をしたとしても死亡保険金を受け取ることができます。
ただし、この死亡保険金は、相続税法上「みなし相続財産」として相続税の課税対象にはなります。 また、相続放棄した人は、相続人とはみなされないため、生命保険金の非課税金額の適用を受けることはできません

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7.解約返戻金の推移によって、相続財産の圧縮額が異なる

契約者を被相続人、被保険者を相続人という生命保険に加入すると、相続財産の評価額は、解約返戻金相当額で評価されます。よって、相続時の解約返戻金が低い保険に加入していれば、相続財産を大幅に圧縮も可能です。

【逓増定期保険に加入して相続財産の圧縮を!】

逓増定期保険とは、保険料の払込期間中、解約返戻金の返戻率は低い率で推移します。しかし、払込期間が終了した後は、一時的に解約返戻金がほぼ100%となる保険商品です。

 

例を使って解説します。

・保険料3,000万円の『逓増定期保険』に加入した場合

【保険の契約内容】

契約者(保険料負担者)

被相続人

被保険者

相続人

受取人

契約者

3,000万円の逓増定期保険に加入して5年経過した後に相続が発生したとすると、5年後の解約返戻金は約50%となります。

逓増定期保険加入のメリットとは?

・解約返戻金が50%になることで、相続財産を50%圧縮することができる

・相続税率が55%の場合には、825万円(=3,000万円×50%×55%)の節税が可能

・解約返戻金が約100%となる6年目に解約することで、払った保険料もほぼ全額返ってくるので、資金を減らさないでOK

・払った保険料を短期間で回収できる

8.平成27年に相続税の大改正があったが、生命保険の論点でも改正はあったのか?

平成27年の相続税の改正は話題になりましたが、生命保険における論点では、改正はありませんでした。平成27年で一番大きな改正が『基礎控除額の減少』です。この改正により、相続税の課税対象者が増加することが確実です。

基礎控除 改正

基礎控除額が大きく下がってしまったため、相続税の申告をしなければならない方が大幅に増加すると言われていおります。これ以外の改正点も知りたいという方は平成27年の相続税改正のすべてをご覧ください。

9、保険の契約者を途中で変更した場合には、課税関係は変わるのか?

契約者を変更することで、発生する税金の種類が変わります。契約者を変更した時点では税金はかかりませんが、保険金を受け取るときに以下のように変更します。

(1)変更前の契約内容

契約者(保険料支払者)

被保険者

死亡保険金の受取人

満期保険金の受取人

【変更前の契約における課税関係は?】

死亡保険金にかかる税金

満期保険金にかかる税金

夫に所得税、住民税が発生

妻に贈与税が発生

(2)変更後の契約内容

契約者(保険料支払者)

夫⇒妻

被保険者

死亡保険金の受取人

満期保険金の受取人

【変更後の契約における課税関係は?】

 

死亡保険金にかかる税金

満期保険金にかかる税金

夫が払った保険料に相当する部分

夫に所得税、住民税が発生

妻に贈与税が発生

妻が払った保険料に相当する部分

夫に相続税が発生

妻に所得税、住民税が発生

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まとめ

生命保険は使い方によっては、相続税対策の切り札となります。特に納税資金の準備をする際にはメリットばかりなので、資産家の方でお金を保有しているのであれば資産運用にもなる生命保険の加入をオススメします。
加入する際は、契約者、被保険者、保険受取人を誰にするかで相続対策出来るか否かが決まりますので、加入前に生命保険会社や税理士にご相談してみてください!
今回の記事では、生命保険を利用した相続税対策についてご説明しましたが、もちろん生命保険を利用しない相続税の対策があります。いろいろな対策を把握しておきたいという方は、下記のサイトを参照ください。

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  • 自分が加入しておくべき保険が何かわからない。
  • 相続対策のために、どんな保険に加入すればよいのかわからない
  • いろいろな保険会社の商品を比べてみたい!
  • 保険で損しないために、保険のプロであるFPに相談したい!
  • 保険料を安くしたい

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