相続時精算課税制度と住宅取得等資金の非課税は併用可能?

相続時精算課税制度と住宅取得等資金の非課税は併用可能?

『相続時精算課税制度』と、『住宅取得等資金の非課税制度』の両方を利用して最大3,700万円の贈与税を無税にしたいという方は多いのではないでしょうか?
今回は、2つの制度の内容と、その制度を利用するために必要となる書類を簡単にご説明致します。

相続時精算課税制度と住宅取得等資金の非課税は併用可能?

1.相続時精算課税制度と住宅取得等資金の非課税制度は併用可能?

大きさ 比較

住宅を購入する資金として直系尊属(両親など)から資金の贈与を受けた場合には、『相続時精算課税制度』と『住宅取得等資金の非課税制度』の2つの贈与税の特例制度の適用を受けることが出来ます。

2.相続時精算課税制度とは?

この制度は、親から子の世代への贈与をスムーズにすることを目的に作られたといわれております。

例えば、親が90歳で亡くなった際に子が財産を取得しても子供は70歳ほどになっているでしょう。

もっと早いうちに財産を子へ移行させることを目的に作られた制度が相続時精算課税制度です。

生前に贈与をした場合には2,500万円の贈与まで贈与税がかかりません。

 その代わりに相続のときには、生前に贈与された財産と相続された財産を足した額に相続税がかかるという制度です。

※ただし、相続税が課税されない場合には、相続税もゼロとなります。

相続時精算課税制度の詳しい内容は、「相続時精算課税制度を簡単にご説明致します!」に記載しておりますので、ご覧ください。

3.住宅取得等資金の非課税制度とは?

新築 考え中

 事例を使って解説させて頂きます。

【お客様 甲さんの事例】

甲さんは、平成29年7月10日、祖父(直系尊属)から住宅取得等資金1,100万円の贈与を受け、住宅取得等資金の非課税の適用を受けました。

直系尊属からの住宅取得等資金の贈与により、一定の要件(省エネ性、耐震性など)を満たした住宅用家屋を新築した方は1,200万円が非課税となります。

なお、甲さんは一定の要件を満たした住宅用家屋を新築しました。

よって、甲さんの贈与税は次のとおりです。

[甲さんの税金計算(平成29年分)]

① 非課税金額 最大1,200万円まで非課税(一定の要件を満たした場合)

 今回、一定の要件を満たしている為、1,200万円までの贈与が非課税となります。

② 課税価格   贈与額 1,100万円 <  非課税金額最大1,200万円

③ したがって、贈与税はゼロ円となります!

この特例を利用するだけで納税額が大幅に削減されます。

住宅取得等資金の非課税制度について、詳しい内容は、「直系尊属から住宅取得資金の贈与で最大1,200万非課税?」をご覧ください。

4.相続時精算課税制度と住宅取得等資金制度を併用した場合

相続時精算課税制度と住宅取得等資金制度は併用可能です。両方の制度を使った場合には、最高3,700万円まで贈与税が非課税となります。

パターン①
【相続時精算課税制度】
 
2,500万円非課税
 
【住宅取得等資金制度】
32年3月までは
最大1,200万円非課税
非課税額は下表参照
平成29年は、
最大3,700万円まで
贈与税が無税に!
パターン②
【相続時精算課税制度】
2,500万円非課税
【基礎控除】
110万円非課税
最大2,610万円まで
贈与税が無税に!

※『相続時精算課税制度』、『住宅取得等資金の非課税制度』、『110万円の基礎控除』の3つを全て利用することが出来ませんのでご注意ください。

非課税の限度額一覧表
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間
①住宅を消費税10%で取得※
② ①以外
良質な
住宅用家屋※
左記以外の
住宅用家屋
良質な
住宅用家屋
左記以外の
住宅用家屋

~平成27年12月

1,500万円

1,000万円

平成28年1月
~平成31年3月
1,200万円
700万円
平成31年4月
~平成32年3月
3,000万円
2,500万円
1,200万円
700万円
平成32年4月
~平成33年3月
1,500万円
1,000万円
1,000万円
500万円
平成33年4月
~平成33年12月
1,200万円
700万円
800万円
300万円

5.相続時精算課税制度を利用時に必要な書類とは?

この制度を選択する場合、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間)に、税務署に、次の書類を添付し、贈与税の申告書に添付して提出しなければなりません。 

  • 贈与税の申告書(別表1・2を作成)
  • 相続時精算課税選択届出書
  • 住民票の写し
  • 登記事項証明書

この届出書や申告書が決められた期限内に提出されなかった場合、その年は相続時精算課税制度が適用されませんので、注意が必要となります。

また、贈与財産の価額が特別控除の範囲内におさまっていて、納付すべき贈与税がなくても申告書等の提出が必要となります。

相続時精算課税制度を利用する場合には、必ず申告が必要です!

 申告期限は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に、納税地の所轄税務署に「相続時精算課税選択届出書」を贈与税の申告書に添付して提出しなければなりません。

この点は暦年課税による贈与税の申告とは異なりますので、注意が必要となります。

「贈与税の申告書」「相続時精算課税選択届出」』は下記の国税庁のホームページにあります。

【贈与税の申告書】
(別表1)

贈与税の申告書[国税庁]

(別表2)

贈与税の申告書(相続時精算課税の計算明細書)[国税庁]

【相続時精算課税選択届出書】

相続時精算課税選択届出書(国税庁)

【上記3つの作成方法】

相続時精算課税を適用する場合の事例 (国税庁)

 初めての方でも作成は出来ると思いますが、少しのミスが命取りになる可能性があるため、相続専門の税理士に頼んだ方が安心かと思います。

6.住宅取得等資金の非課税制度を利用時に必要な書類とは?

この非課税制度を利用するには、贈与税がゼロであっても確定申告は必ず必要となります。

ゼロだから申告しなくて良いと思われている方が多いので、注意が必要となります。

【必要となる確定申告書】 

①贈与税の申告書の第一表

贈与税の申告書[国税庁]

②贈与税の申告書の第一表の二(住宅取得等資金の非課税の計算明細書)

平成28年贈与税の申告書(住宅取得資金等の非課税の計算明細書)[国税庁]

上記の申告書の記載例はこちらを参考にしてください。

申告書の作成例等[国税庁]

【添付書類は?】

  • 住民票の写し
  • 戸籍の謄本
  • 新築や取得の契約書の写し及び登記事項証明書

※これらの手続きは少し大変ですが、何とかご自身でも出来るでしょう!

しかし、ミスしやすいのも事実です。ミスを防ぐためにも専門家の税理士にお願いすることをオススメします。

まとめ

『相続時精算課税制度』と『住宅取得等資金の非課税制度』についてご理解頂けたでしょうか?2つの制度を上手く利用することが出来れば大きな節税となる可能性があります。相続時精算課税制度については、2,500万円まで、贈与税が、無税となりますが、相続時に加算されて計算されるため、利用する際は、注意が必要となりますので、相続専門の税理士にご相談の上判断されると良いのではないでしょうか。