配当還元方式を使って相続・事業承継をするための2つの方法

配当還元方式を使って相続・事業承継をするための2つの方法

自社株を相続・事業承継する場合のポイントになるのが「いかに株式の評価を下げ、相続税や贈与税を少なくするか」ということです。

経営者にとって、自社株をより有利に評価できる「配当還元方式」を使った相続・事業承継の方法について考えてみましょう。 

配当還元方式とは何か

株 配当 イメージ

取引相場のない株式の評価方法は3つありますが、そのうち配当還元方式とは、「株主に対して会社が配当するお金」に着目した評価方式です。他の2つの方法である「純資産価額方式」「類似業種比準方式」が会社の財産価値全体を見渡した上での評価であることに比べると、一面しか見ていないことになってしまいます。

ですから、これを適用できる株式は限られており、端的に言えば「株主として経営に参加する機会はほぼなく、配当金をもらうことにしか価値を見いだせない性質の株式」ということになります。同じ株式といってもすべてが同じ価値を持つとはいえず、経営に深く関与できる人が持つ株式と、それ以外の株式の価値は異なるのです。

よって、経営に関与できない株主が持つ株式について、より実質的な公平性を重視するために配当の面だけを評価する方式で計算するのです。この計算方法をうまく利用できれば相続・事業承継の対策を有利に進めることもできます。


配当還元方式を使って相続・事業承継をするための2つの方法

従業員持株会を作り、株式を売り渡す方法

会議

「経営者が持つ株式の一部を、経営者サイドではない株主(=配当還元方式で評価してもらえる株主)に保有させる」という方法で相続税を圧縮することができます。

「従業員持株会」とは会社に常設される機関で、加入を希望する従業員が加入して会社から奨励金などを支給してもらう形を取り、会社の株式の一部を持ちます。

そこの会社の従業員である間は株式を保有し続けることができ、会社の利益が出れば配当金を受け取れるという組織です。

従業員持株会を作ることには、一般的にこのようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 経営者が持つ株式の数を減らすことができるため相続税の節税につながる
  • 従業員の資産形成ができる
  • 会社の利益アップが配当金につながるため、従業員の仕事へのモチベーションを上げることができる
  • 会社にとっては、むやみに自社株が社外に流出することを防ぐことができる

(持株会の加入社員が退社する際には会社が株式を買い戻すという規定をつけることが一般的)

デメリット

  • あまりにも多くの株式を従業員に持たせると、経営者側の会社の支配権が揺らぐおそれがある
  • 会社の経営状態の悪化により配当金が下がると会社への不信感から従業員の士気が下がる
  • 退会者が集中した場合、それらの買取のため多額の資金が会社から流出することがある
  • 従来から自社株を持っていた社員を従業員持株会に取り込めなかった場合に管理が難しい面が出てくる

これらの特性を踏まえて、機関設計をしっかりと立ててから従業員持株会を設置しなくてはなりません。

役員持株会を作り、株式を売り渡す方法

相続・事業承継対策において配当還元方式を使えるテクニックのもう1つとして、「役員持株会」を使った方法というものがあります。

役員が大株主や経営者、その親族等である場合は配当還元方式を使うことができません。

しかし、親族等ではない従業員を役員に昇格させ、後継者に据えるということもありえます。いわゆる「同族関係者グループ」に属していなければ配当還元方式が使えますので、そのような役員について持株会を組織して株式を持たせるのです。

メリット・デメリットはほぼ従業員持株会と同様ですが、こちらも不当な税金逃れと取られないためには組織としての設計をきちんと整え、適性に運営されていることが必要になります。