個人事業主の事業承継とは?円滑な事業承継の方法と必要書類の書き方とは

個人事業主の事業承継とは?円滑な事業承継の方法と必要書類の書き方とは

個人で商店や飲食店などの事業を行われている方がお子さんに2代目や3代目として事業を引き継ぐということもあるでしょう。

一般的な企業の事業承継と個人事業主の事業承継には違いがあります。個人事業主の事業承継の方法や事業承継に必要となる書類などについて詳しくご紹介します。


個人事業主の事業承継とは?円滑な事業承継の方法と必要書類の書き方とは

1.個人事業主の事業承継

個人事業主とは、自営業やフリーランスなど個人で事業を行っている方を言います。個人事業の事業承継とは、親族間で承継されるというケースが多いでしょう。

とは言え、「お前に店をやる!」と言っただけでは事業承継したとは言えません。

口約束では事業を引き継いだと言えません

個人事業の事業承継には「廃業届」と「開業届」の提出が必要となります。

これは、税法上の個人と法人の違いによるものです。

法人の場合、事業によって得た収益には法人税が課税されます。一方、個人事業の場合、事業によって得た収益は個人の収益となり所得税が課税されます。課税対象が個人になることから個人事業には事業を承継するという概念が存在しないということになります。

そのため、継承する個人が一度廃業し、継承される個人が再度開業するという形を取ります。

引き渡す人が廃業届、引き継ぐ人が開業届を提出する必要があります。

2.個人事業の事業承継の流れ

例えば父親が行っていた事業を息子に継承するというケースの場合には、以下のような流れで事業承継を行ないます。

(1)個人事業の廃業届出書の提出

まず、父親(事業を承継する側)が「個人事業の廃業届出書」を提出します。状況によっては以下の書類を一緒に提出します。

廃業届と一緒に提出する書類

 

【免税事業者とは】

消費者が商品代金と一緒に支払う消費税は、受け取った事業者が消費者に代わって受け取った消費税を納付する必要があります。

消費税の納税義務を持つ事業者を「課税事業者」、納税義務を持たない事業者を「免税事業者」と言います。

以下のいずれかに該当する場合には、消費税の課税事業者となります。

課税事業者の条件

(2)個人事業の開業届出書の提出

次に、子(事業を承継される側)が「個人事業の開業届出書」「青色申告承認申請書」を提出します。状況によっては以下の書類を一緒に提出します。

開業届と一緒に提出する書類

【青色事業専従者とは】

青色事業専従者とは簡単に言うと、事業を手伝っているご家族のことを言います。青色事業専従者であれば、その人に支払っている給与を経費として扱うことが可能です。

しかし、青色事業専従者と認められるには以下の要件を全て満たしている必要があります。

青色事業専従者の要件

3.廃業届、開業届の書き方

廃業届・開業届は事業を運営する所在地を管轄する税務署に提出します。管轄の税務署がわからない!という方は、国税庁のホームページから検索することが出来ます。

国税庁HP

(1)廃業に関する書類

廃業届

個人事業主の開業・廃業届出(国税庁HP)

事業の廃止以外にも新設・増設や移転などの場合にも提出が必要となります。主な記入方法は以下の通りです。

廃業届の書き方

廃業に伴う届出書の提出がある場合には、以下の書類をダウンロードして一緒に提出してください。

青色申告の取りやめ届出書(国税庁HP)

事業廃止届(国税庁HP)

予定納税額の減額申請書(国税庁HP)

予定納税の減額申請手続は期限が定められています。1期・2期分:7月1日~7月15日、2期分のみ:11月1日~11月15日です。

(2)開業に関する書類

開業届

個人事業主の開業・廃業届出(国税庁HP)

廃業届けと同じ書類を使用します。開業届は必ず提出する義務はありませんが、提出しておいたほうが良いことが多いので提出しておくようにしましょう。

開業届の書き方

開業に伴う届出書の提出がある場合には、以下の書類をダウンロードして一緒に提出してください。とくに青色申告承認申請書は提出期限が開業から2ヶ月以内となります。

忘れてしまわないように、開業届と一緒に提出するようにしましょう。

青色申告承認申請書

青色専従者に関する届出書

従業員を雇用する場合には雇用契約書等の準備も必要です。

4.個人事業主の事業承継の注意点

(1)屋号が商号登記されている場合

引き継ぐ事業の屋号はそのまま使用することが可能ですが、商号登記を行っている場合には、法務局にて商号登記の名義変更の手続が必要です。

(2)親から子への事業承継はみなし贈与になる

親(事業を承継する側)が所有しているお店等の事業を子(事業を承継される側)に無償で引き継がれた場合、税法ではみなし贈与となり、贈与税が課税されるケースがあります。

贈与税の考え方は、お店等の事業による資産からお店等の事業による債務を差し引いた金額が課税対象となります。贈与税は、1月1日~12月31日までの1年間に受けた贈与額が110万円以下であれば贈与税は課税されません。

したがって、引き継いだお店の課税金額が110万円を超えず、子が親から他に贈与を受けていない場合には贈与税は課税されません。

まとめ

個人事業の場合、税法上では事業承継という概念が存在しません。しかし、実際には親から子へ事業を受け継ぐということは有り得ることです。

この場合には、親が一度廃業し、子が再度開業するという手続が必要となります。手続をスムーズに進めて、円滑な事業承継を行ってくださいね。