遺言執行者に選ばれた方が行うべき仕事とは?

遺言執行者に選ばれた方が行うべき仕事とは?

遺言執行者は、遺言の内容を実行するための手続きを行うひとのことをいいます。

民法にその根拠があり、仕事の内容についても一定のルールがあります。権限としては相続人の代理人となります。

遺言のなかで遺言執行者を指定することもできますし、第三者に遺言執行者の指定を委託することもできます。指定されていない場合は、利害関係人の請求によって裁判所が選任することもあります(民法1010条)。

では、遺言執行者に選ばれた場合には、どのような仕事を行うことになるのでしょうか?


遺言執行者に選ばれた方が行うべき仕事とは?

遺言執行者の仕事内容とは? 

具体的な遺言執行者の仕事としては、

・財産目録の作成

・子の認知届

・相続登記

・預金の解約

などがあります。

けがや病気で動けないといった、やむを得ない場合をのぞき第三者に再委託するようなことはできません(民法1016条)。

指定された遺言執行者が最後まで責任をもって実行する必要があります。後述のとおり、遺言執行者でないとできない手続きもあります。

遺言執行者は法令に則って迅速・確実に仕事をすることが望まれますので、司法書士や信託銀行など相続手続きのプロがなることがあります。相続人のうちの誰かが指定されることも多いです。

未成年者と破産者は遺言執行者になることができません(民法1009条)。

遺言執行者は複数人指定することもできます。その場合の手続きは過半数で行います(民法1017条)。

例えば遺言執行者が3人いる場合、亡くなったひとの預金を解約するためには遺言執行者のうち2人の署名捺印が必要になるということです。

遺言執行者の報酬は裁判所が定めることができますが、遺言で決められている場合はそれに従います(民法1018条)。

きちんと仕事をしなければ家庭裁判所を通じて解任されることもあります(民法1019条)。報酬だけではなく、故人の遺志を確実に実行するためという目的意識があれば、やりがいのある仕事となるでしょう。

有効な遺言書がない場合、相続登記や金融機関の預金解約手続きでは、法定相続人全員の印鑑証明書が必要な場合がほとんどです。

遺言があり、遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者が単独で手続きできるので、相続人の負担も軽減されます。煩雑な手続きを相続人のうちの誰が行うのか、という問題も解消できます。

遺言執行者になったひとは、「直ちに」仕事を行います。民法でそう規定されている(1007条)のですが、この「直ちに」という言葉は法律用語ではもっとも急ぐ表現で、何よりも優先して、くらいの意味になります。

後述の認知を除いて実際にいつまでに何をする、と決まっているわけではないのですが、着手はすぐにしたほうがいいでしょう。

 

遺言執行者に選ばれたひとがまず行うことは、遺言執行者となることを承諾するかどうかを回答することです。

相続人などの利害関係人が決めた期間までに回答しなければ、承諾したとみなされます。

次に、遺言執行者に就任したことと、遺言の内容を相続人に通知します。

これは法令で定められているわけではありませんが、トラブルを避けるためにしておいたほうがよいでしょう。ちなみに、遺言執行者の指定を委託されたひとは、相続人に遺言執行者の指定を通知する義務があります(民法1006条)。

次は相続された財産の目録を作り、相続人に交付します。これは民法で定められています(1011条)。

相続人調査も不可欠です。亡くなった人の戸籍・原戸籍・除籍を収集し、法定相続人が誰なのかを調査します。相続関係説明図という形でわかりやすく図にしておくとよいです。

上記の4つは、まとめて相続人に交付してもよいです。

・遺言執行者に就任した旨

・遺言の内容

・財産目録

・相続人調査の結果

これらを遅滞なく、すべての相続人に交付します。

いよいよ遺言の内容を実行する段階に入ります。

 

・子の認知は、遺言執行者に就任してから10日以内にしなければなりません(戸籍法64条)。

・遺言によって相続人の廃除をする場合、遺言執行者は家庭裁判所にその旨を請求します(民法893条)。

相続人の廃除とは、法定相続人になるべき者のうち、はげしく侮辱したり暴行をふるったりした者を相続人から除外する仕組みです。

これらの2つは、それぞれの法律で遺言執行者が行うと定められています。つまり、遺言執行者でなくてはできないことなのです。遺言執行者を指定していなければ、家庭裁判所に選任を請求する必要が出てきます。

あとは、遺産の分割に必要な手続きです。

・預貯金の解約、各相続人への振込などの作業

・不動産の名義変更(相続登記)

・その他名義変更(車両や有価証券など)

・その他遺産の分割、寄付行為など

預金であれば各金融機関、不動産は法務局、車は陸運局、株式は証券会社など、それぞれの窓口で所定の手続きを行います。

相続に関する手続きは、遺産分割のほかにも、相続税の申告・納付があります。これらは遺言執行者が行うものではなく、各納税義務者が行うことになります。遺言執行者は「相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有」(民法1012条)していますが、各相続人の納税に関する義務までは負わないのです。

 

まとめると、遺言執行者の仕事としては、次のようなものがあります。

・遺言の内容、相続人調査・相続財産調査の結果、および遺言執行者になることを各相続人へ通知する

・預貯金や不動産などの名義変更


監修専門家



4000人以上に選ばれている 相続専門の業界大手税理士事務所