遺言があれば防げた?遺言がない場合の3つのトラブル事例

遺言があれば防げた?遺言がない場合の3つのトラブル事例

遺言は、自分が死んだあとの遺産の分配方法について記すものです。ところが、自分が死ぬことを想像するなんて縁起が悪い、とか、まだまだ自分は元気だから大丈夫、とか、うちは兄弟の仲が良いから遺言なんてなくても揉めることはない、などと言われて、遺言を作成する必要はないと思っておられる方がおられます。

また、うちはそんなに財産がないから大丈夫、と思われている方も少なくありません。

しかし、平成26年度の司法統計によれば、遺産の分割について、相続人間で話し合いがつかず、家庭裁判所に遺産分割調停・審判として持ち込まれた相続トラブルのうち、遺産額が5,000万円以下の事案と1,000万円以下の事案が約70%強と、そのほとんどが、ちょっとした不動産と預金程度の遺産の事案であったのです。 ここでは、遺言が無かったばかりに無用なトラブルが起きてしまう可能性がある場合について説明します。

遺言があれば防げた?遺言がない場合の3つのトラブル事例

<ケース1>被相続人の死後、相続人間のトラブルが起こる場合

被相続人が亡くなる前は、相続人同士に特にトラブルがなく仲が良い場合であっても、被相続人の死後に関係が悪化する場合は少なくありません。

例えば、被相続人が亡くなる前は、相続人がそれぞれ多かれ少なかれ互いに不満を持っていたが、それまでは表面化しなかったものが、遺産の相続という場面に直面して表面化する場合がその一例です。 また、相続人同士はそれほど関係が悪化していなくても、相続人の配偶者が分割の内容に不満を持って口を出してきた結果、相続人同士の関係が悪化するということもしばしばみられます。 このように、被相続人の生前は特に関係が悪くなくても、相続についての話し合いを行う中で関係が悪化していく場合があるのです。

<ケース2>被相続人と一部相続人の仲が円満でない場合         

相続人のうちの一部の者と被相続人の関係がそもそも円満でない場合や、疎遠な場合も、遺言を残しておいた方がよいことが多々あります。

例えば、両親が長期間別居しており、母親が未成年の子を養育しているような場合に、母が亡くなってしまうと、その遺産の半分は別居している父親が相続することになります。

父親が未成年の子のためにその遺産を使ってくれればよいのですが、そうでない場合は、未成年の子に対する母親の想いが無に帰してしまうことにもなりかねません。

相続人の一部の者と被相続人が円満でなかったり、疎遠であったりすると、被相続人の死後、その相続人が被相続人の意向に沿った行動を取ってくれない可能性があるのです。

<ケース3>被相続人が法定相続分どおりの遺産分割を望んでいない場合

被相続人が、法定相続分どおりではない方法での遺産の分割を望んでいる場合、例えば、自分の老後の世話をしてくれた長男の嫁に遺産を譲りたい、年老いた妻に家などの特定の遺産を残してやりたい、法定相続人ではない甥や姪に遺産の一部を相続させたい、などという希望を持っている場合、遺言を残しておかないと、被相続人の希望通りに遺産が分割されない可能性が高くなります。

その結果、年老いた妻が住むところがなくなってしまったり、遺産分割の場面で被相続人の老後の面倒を見た相続人が寄与分を主張して遺産分割協議が難航したりしまう可能性があります。

また、被相続人が商売をしていたような場合は、その商売に必要な財産は商売を継ぐ者に相続させる必要がありますが、遺言を残しておかなかったばかりに、法定相続分どおりに分割されてしまい、最悪の場合、商売を継続することができなくなってしまうような場合もあります。

遺言作成のすすめ

上記の3つのケースにおけるトラブルはいずれも遺言を作成することで回避可能です。

自分の死後に、相続を巡って家族間にトラブルが起こることほど悲しいことはありません。遺言によって事前にそのトラブルの芽を摘むことが可能なのですから、残された家族のためにも遺言の作成を検討してみるべきといえます。