遺留分を放棄することは可能?相続開始の【前】【後】に注目!

遺留分を放棄することは可能?相続開始の【前】【後】に注目!

遺留分(いりゅうぶん)とは、民法が保障しいている法定相続人(兄弟姉妹を除く)が受け取ることができる最低限度の遺産の割合です。

たとえ他の法定相続人に全ての遺産を相続させるという遺言が残されていたとしても、遺留分は受け取ることができるわけです。

遺留分は放棄をすることも可能です。けれども、相続開始前後でその方法は大きく異なります。今回は、相続の開始前後の遺留分の放棄について説明します。


遺留分を放棄することは可能?相続開始の【前】【後】に注目!

 1.相続開始【前】に遺留分を放棄する方法

相続開始前(被相続人の生存中)に遺留分の権利のある相続人(配偶者、子、直系尊属)がその権利を放棄する場合は、家庭裁判所へ許可を申立てることが民法第1043条で定められています。

なぜ家庭裁判所の許可が必要なのでしょうか?

それは、相続人を守るためです。

もし、相続開始前に自由に遺留分を放棄することができれば、被相続人が放棄を強要する可能性があります。

例えば、被相続人に子供が3人いるとします。長男にだけ遺産を相続させたい場合に、他の2人の子供に無理やり遺留分を放棄させようとするかもしれません。

2.「遺留分放棄の許可」の申立て方法

遺留分放棄の許可の申立ては、遺留分の権利のある相続人が、相続開始前に被相続人の住所地の家庭裁判所へ申立てをします。

申立書には、申立て理由、財産目録などを記入します。

家庭裁判所が遺留分放棄を許可するには、申立人である相続人の「自由意志(他人に強要されていない)」であることが重要。

また、遺留分を放棄するに値する財産をすでに受け取っているので、放棄することに合理性があると判断される必要があります。

例えば、相続人である長男が、父親(被相続人)から家を購入するときに多額の援助をしてもらった場合などです。そして、相続人の生活が安定しているか。なども判断基準になります。

ただ、離婚などによって親子が長年交流していなかった場合は、代償がなくても遺留分の放棄を許可したという判例もあります。

遺留分放棄を撤回したい場合は、遺留分放棄が妥当ではなくなったという事情の変化が必要になります。そのような場合のみ、家庭裁判所が職権で遺留分放棄の許可を取り消すことができるとされています。

3.遺留分を放棄するとどうなるのか?

相続人が直系尊属のみの場合は、遺産の3分の1が遺留分です。また、その他の場合は、遺産の2分の1が遺留分と民法第1028条で定められています。

どれくらい遺留分があるかを確かめるためには、下記のサイトをご確認ください。

相続発生前に絶対に覚えておきたい『遺留分』の知識

相続開始前に遺留分を放棄するということは、相続開始後に遺留分減殺請求ができなくなるということです。

ただ、相続開始前に遺留分を放棄したからといって、全ての相続を放棄したということではありません。法定相続人であることに変わりはないのです。ですから、他の共同相続人に多額の遺贈や贈与があり遺留分が侵害されている場合には、遺産分割で侵害された遺産を受け取ることもできます。

4.相続開始後に遺留分を放棄する方法

相続開始後は、相続開始前のように遺留分の放棄を被相続人から強要されることがなくなります。

ですから、家庭裁判所へ許可を申請する必要はありません。自由に放棄することができるのです。

また、遺留分減殺請求は、相続が開始され、減殺するべき贈与や遺贈があることを知ってから1年以内に行わなければ、権利は消滅してしまいます。ですから、この期間内に遺留分減殺請求をしなければ、自動的に遺留分を放棄したことになるのです。

まとめ

仮に被相続人が遺言で不平等な遺産分割の意思を示したとしても、不平等な扱いを受けた相続人が最低限の遺産を受け取ることができるように遺留分が定められています。相続開始前の遺留分の放棄は一度認められれば、「気持ちが変わった」というような簡単な理由では撤回することができません。ですから、家庭裁判所へ申立てをする前に、専門家に相談するなどして、将来後悔することのないようにしましょう。


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