遺留分減殺請求ができる相続人は誰か?誰でもできるわけではない?

遺留分減殺請求ができる相続人は誰か?誰でもできるわけではない?

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に権利が認められる「相続財産の一定割合を取得できる部分」です。

遺言書によってその権利が侵害された場合に遺留分の取得を求める権利が「遺留分減殺請求権」です。

遺留分、ならびに、遺留分減殺請求権があるのは、兄弟姉妹以外の相続人です。

具体的に言うと、「配偶者・子(代襲相続人を含む)・直系尊属」が該当します。

しかし、配偶者・子・直系尊属でなくても、「相続人とならない場合」には遺留分減殺請求権がありません。

ではなぜ兄弟姉妹には、遺留分減殺請求の権利がないのでしょうか?

また、兄弟姉妹以外の相続人でも遺留分減殺請求権がなくなるケースがありますが、そのケースとはどのようなケースでしょうか?


遺留分減殺請求ができる相続人は誰か?誰でもできるわけではない?

1.兄弟姉妹には、遺留分減殺請求の権利はありません。権利がない理由とは?

兄弟姉妹には遺留分減殺請求権がありません。それはどうしてなのでしょうか。

本来、遺留分は相続人に最低限の遺産を保証するためのもので、相続人の生活保障や相続人の協力によって得られた財産を残すことなどを目的としていると言えます。

だから、遺言書によって非常に少ない遺産しか与えられなかった場合の救済措置として、遺留分減殺請求権があるのです。

兄弟姉妹は、ほとんどの場合、被相続人とは別にそれぞれが生計を維持しています。

つまり、被相続人の財産によって生活していたわけではないのだから、遺留分を認めなくてもよいと考えられています。

法定相続人の中でも最も相続関係が遠く、生活が別だったのだから、相続についても同じ考え方でよいだろうということです。

また、兄弟姉妹には代襲相続が認められているためとも言われています。

代襲相続する場合には遺留分減殺請求権も引き継がれるのですが、おいやめいに遺留分減殺請求権を与えるのは遺言者に酷な結果となると考えられ、兄弟姉妹にも遺留分減殺請求権を与えないとされました。

なお、兄弟姉妹に遺留分は認められませんが、寄与分は認められることがあります。

ただ、遺言書がある場合は、寄与分の主張よりも遺言書が優先されます。

2.兄弟姉妹以外の相続人でも遺留分減殺請求権がなくなるケースとは?

 

①相続欠格

相続の欠格事由にあてはまる場合、その者は強制的に相続人としての資格を失います。

民法第891条に、「次に掲げる者は、相続人となることができない」として、下記の欠格事由を列挙しています。

・故意に「被相続人」や「相続順位が高いまたは同じ相続人」を死亡させたり、死亡させようとしたりして、刑に処せられた者

・被相続人が殺害されたことを知ったにもかかわらず、告発や告訴をしなかった者。ただし、是非の弁別がない者や、殺害者が自分の配偶者か直系血族である場合は除かれる

・詐欺や強迫で、被相続人が相続に関する遺言を作成・撤回・取消・変更しようとするのを妨げた者

・詐欺や強迫で、被相続人に相続に関する遺言を作成・撤回・取消・変更させた者

・相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者

これらの欠格事由に該当した場合、被相続人が意思表示せずとも、その者は相続人としての資格を失うことになります。ただし、「相続欠格者が死亡しており、その子供が相続する」という場合、代襲相続は可能です。

②相続廃除

被相続人が特定の相続人に財産を渡したくないと考えた場合、民法第892条に定める理由に該当する場合であれば、家庭裁判所に請求することで、相続廃除をして相続人でなくならせることができます。 

条文には、「被相続人に対して虐待をし、若しくは(もしくは)これに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったとき」とされています。

この廃除事由に該当するには、かなりひどい程度でなければならないようです。

過去には、「実の親子に多額の借金を肩代わりさせた」、「被相続人に日常的に暴言を吐いた」、「受刑・服役があった」、「親の意に沿わない結婚をした」といったものが認められています。ただ、結婚相手が気に入らないという程度では認められず、その行為によって「家族間の共同生活を破壊する程度」でなければならないとされています。

③相続・遺留分の放棄

特に気をつけておきたいのが、相続放棄をした場合です。

民法第939条には、「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」とあります。はじめから相続人とならないわけですから、そもそも相続財産を引き継ぐ権利・義務がなく、遺留分・遺留分減殺請求の権利もないとされるのです。

相続放棄は相続が開始したことを知った時から3か月以内にしかできませんが、一度放棄の意思表示をしたものを撤回することはできません。遺留分のこともそうですが、本当に相続放棄する方がいいのかは慎重に考えるべきでしょう。

また、民法1043条には、「相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる」と定めており、被相続人が生前のうちに、その遺留分を放棄することができるとしています。

この場合、遺留分の放棄をして遺留分の権利がなくなったのですから、当然に遺留分減殺請求権も失うことになります。

 

3.遺留分減殺請求はいつまでに行えばよいの?

遺留分減殺請求ができる期間には、

・相続開始、贈与、遺贈を【知ったときから】1年間

・相続開始から10年間

の2つがあります。

これらの期間は、民法第1042条にて定められています。

遺留分減殺請求ができる2つの期間について、それぞれの内容を解説します。

相続開始、贈与、遺贈の事実を【知ったときから】1年間とは、遺留分減殺請求権者が相続開始、贈与、遺贈の事実を知ってから1年後に遺留分減殺請求権が消滅時効になることをいいます。ただし、相続開始から10年間であることが前提となります。そのため遺留分減殺請求を行うことができる期間は2つ存在しています。

つまり、被相続人が亡くなってから11年目に遺留分減殺請求権者が相続開始、贈与、遺贈の事実を知ったとしても、遺留分減殺請求権を行使して自分の相続分を主張することができないということになります。極端な話、被相続人が亡くなって10年目を迎える前日に相続開始、贈与、遺贈の事実を知れば、そのときから1年間は遺留分減殺請求権を行使することができることになります。

ちなみに、遺留分減殺請求ができる人は、

・配偶者

・子ども

・直系尊属

であることが民法第1028条にて定められています。兄弟姉妹を除いた上記の法定相続人は遺言によって法定相続分が侵害されている場合、上記の期間において遺留分減殺請求権を行使することができるのです。

まとめ

遺言によって、法定相続分が侵害されている場合には、兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分減殺請求を行うことが可能です。

遺留分減殺請求には、期限がありますので、早めに専門の弁護士にご相談のうえ、請求しましょう。


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