遺言書で指定された相続人が相続放棄した場合、相続放棄はできるのか?

遺言書で指定された相続人が相続放棄した場合、相続放棄はできるのか?

被相続人の意思が明確に示されている遺言書は、相続分割協議において絶対的な存在なのでしょうか。

相続人が相続放棄したいと思っても、遺言に逆らうことはできないのでしょうか。この記事では、遺言と相続放棄について解説します。 


遺言書で指定された相続人が相続放棄した場合、相続放棄はできるのか?

1.遺言書があっても相続放棄は「できる」

結論から言うと、遺言書があっても相続放棄をすることはできます。民法第986条1項には、次のように記されています。

受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。

遺贈とは、遺言の指定による遺産の贈与、受遺者とはそれを受ける者を指します。

遺言の効力は非常に強いですが、受遺者に対して相続を強制するものではありません。

相続人全員の合意を得られれば、遺言の内容と異なる遺産分割を行ってもよいことになっています。

また、相続放棄を行った場合、死亡時にさかのぼって効力を生じます。

ただし、相続放棄を行うと、代襲相続の適用ができなくなる点に注意が必要です。

もしも相続人である子が一人しかおらず、その子が相続放棄をする場合、子はいないものとみなされます。

そのため、次順位は直系尊属(父母・祖父母)となり、受遺者の子や孫が代わって相続することはできません。相続放棄する場合は、相続順位が下位である親族にその旨を伝えておくことで、余計なトラブルを避けることができるでしょう。 

2.相続分だけを受け取ることもできる

遺言書に従わず遺贈を放棄をした場合でも、法定相続分だけ受け取ることは可能です。

遺贈を放棄しても、相続人としての地位までを放棄したことにはならないため、相続分を受け取ることができるのです。

3.全員が相続放棄したらどうなる?

相続放棄を行う理由はさまざまだと思いますが、「負債を引き継ぎたくない」という思いが隠れている場合は、他の相続人も全員相続放棄することが考えられます。

相続する人が全くいない場合は、被相続人と生計を同じくしていた人(内縁の妻、事実上の養子など)、被相続人の療養看護につとめた人、その他被相続人と特別の縁故があった人などが、「特別縁故者」として財産分与を受ける場合があります。

こうした特別縁故者も存在しない場合は、相続財産は国庫に納められることになります。相続財産管理人が管理終了報告書を家庭裁判所に提出し、手続きが完了します。

全員が相続放棄した際のさらに詳しい内容については、下記サイトでご確認ください。 

全員相続放棄したら、どうなるの!?

まとめ

遺言書があっても相続放棄は可能ですが、代襲相続ができないなどの留意点があります。

一旦相続放棄をすると取り消すことは難しいので、慎重に進めましょう。