相続税の税務調査~最大のポイントは名義預金

相続税の税務調査~最大のポイントは名義預金

相続税の税務調査は、相続税の申告を行った人の約30%ぐらいの割合で行われています。また相続税がかかる人が、申告しなければならなかった場合にも調査されることがあります。

相続税の税務調査で、申告漏れなどが指摘されると、追徴税や延滞税がかかることになりますので、十分注意が必要です。

それでは、この税務調査で最も注意しなければならないポイントとは何なのでしょうか。


相続税の税務調査~最大のポイントは名義預金

1.相続税の税務調査

相続税の税務調査は、申告された内容に誤りがある可能性がある場合や、相続税がかかる人が申告をしないでいる場合に行われます。

税務調査では、財産に関することだけではなく、被相続人の生い立ちや職歴、趣味などについて細かく質問されます。

 税務調査の時期、時間

相続税の税務調査は、相続税の申告書を提出した年か、翌年の秋頃に行われるケースが最も多く、通常は相続税の申告を行った税理士の事務所に連絡があり、日程調整を行ったうえで調査日が決められます。

相続税の申告で税理士が書面添付している場合には、税理士に対して意見聴取が行われ、その後の調査が省略されることもあります。

2. 税務調査の目的

税務調査の最大の目的は、隠し財産や名義預金です。

被相続人以外の親族名義での金融資産がないか、被相続人以外の名義の株式は誰のものか、などを細かく調査されることになります。

例えば、被相続人が病気で亡くなった場合で看病していた人が近しい人である場合には、被相続人の金融資産が、看病していた人の名義に変わっているのではないか、なども調べられます。

(1) 名義預金の調査

前述したとおり、相続税の税務調査で最も問題となるのは、「被相続人以外の名義の株式や預貯金は誰のものか」ということです。

生前に預貯金の名義をどんどん妻や子どもに変えれば相続税の対象にならないとしてしまうと、相続税は課税されないことになってしまいます。

もちろん、暦年贈与など適切な方法で生前に財産を移したのであれば問題ありませんが、名義だけ妻や子どもにしておき、その通帳や印鑑は被相続人本人が管理していた場合などは「名義預金」であり被相続人のものということになるので、この名義預金が調査の対象となるわけです。

名義が妻や子ども、孫の名義の預貯金であっても、実質の所有者が被相続人である以上、相続税の申告書には被相続人の財産として計上する必要があります。それなのに安易に「名義が被相続人じゃないから大丈夫だろう」と計上しないでいると、税務調査で追及されることになってしまいます。

結婚してからずっと専業主婦である妻の名義の預貯金が、長年の結婚生活で、コツコツとへそくりで貯めたものであっても、夫である被相続人の財産として追及されることになります。

(2) 預金の出し入れはチェック済み

税務署は、税務調査の間に被相続人の財産状況を徹底的に調査し、預貯金の出し入れについても把握しています。

預貯金や上場株式の動きについては、銀行や証券会社で動きを調べているケースがほとんどです。

たとえば定期預金が満期になり解約された場合には、そのお金を自動車や不動産なその資産購入に充てたのか、子どもや孫の名義に変えて預金してあるのではないか、旅行などで消費したのではないかといった関連性を調べたうえで、疑問点を洗い出し調査するのです。

子どもや孫の名義に変えて預金している場合には、「名義預金」に当たりますので、相続財産として申告しなければなりませんし、子どもや孫がそのお金で不動産や車を購入した場合には、相続税の申告をする必要があるからです。

「まさか税務署はこんなことまで把握していないだろう」と思って、ウソをついたりすると、あとでとんでもないことになってしまいます。

「まさか、こんなことまで」ということまで税務署では把握していることが多いので、安易な思い込みで対応しないよう、十分注意したいものです。

(3) ありがちな申告漏れ

相続発生前に引き出した預金についても、申告しなければならないケースがあります。

病気などが原因で亡くなった場合には、亡くなる前に「死亡したら口座が凍結されて引き出せなくなるから、葬式代のために早めにおろしておこう」などの理由で亡くなる前に預貯金を下したり、配偶者や子ども名義の預貯金で管理しておくケースなどです。

しかしこのようなお金の相続人名義の預貯金で管理されていたお金なので、相続財産に計上しなければならないのです。

例えば、死亡する1週間前に被相続人の預金を300万円引き出して金庫に閉まっておいて、葬式代として全部使ってしまったから現金はないと考え、葬式代を債務として控除してしまうケースです。

しかしこの300万円は自宅の金庫にあったのですから、これ以外の財産が2億円あった場合には、「2億円+300万円(手持ち現金)-300万円(葬式代)=2億円(課税価格)」としなければならないのです。

しかし「2億円+手持ち現金ゼロ円ー300万円(葬式代)=1億9700万円」として計上してしまうと、税務調査で重加算税の対象となってしまうので、注意が必要です。

(4) 税務調査に備えるためには

税務調査に備えるためには、相続に強い税理士に申告を依頼しておくことが一番です。

ただ、ひとくちに税理士といっても、法人・個人の記帳代行や申告を専門している税理士もいるので、相続の税務調査で困らないためには、相続税を専門とし、多数の税務調査に立ち会った税理士に依頼するようにしましょう。