借金があると相続税が安くなる!債務控除というしくみ

借金があると相続税が安くなる!債務控除というしくみ

相続税には「債務控除」というしくみがあります。

相続財産にはプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれますが、債務控除とは、このマイナスの財産である借金などの債務があると、相続税の計算をするときにプラスの相続財産から差し引くことが出来るというしくみです。

ここではこの「債務控除」というしくみについて、ご紹介します。


借金があると相続税が安くなる!債務控除というしくみ

1. 債務控除とは

債務控除とは、相続税の計算をするときに、プラスの相続財産からマイナスの財産を差し引いて計算するというしくみのことをいいます。

ただし債務であれば何でも差し引いて良いというわけではありません。

控除される債務の範囲は、被相続人が亡くなった時に現実に存在しているものに限定されます。

(1) 控除の対象となるもの

控除の対象となるものには、相続後に相続人が弁済するものすべてが対象となります。

代表的なものとしては、金融機関からの借入金、クレジットカードの未決済分、相続開始後に支払った被相続人の入院費や医療費、未払いの経費などがあげられます。

しかしだからと言って「借金をすれば、相続税を安くすることが出来る」と理解するのは間違っています。

例えば、預貯金2億円・不動産3億円で借入金が1億ある人の正味財産は、(2+3)-1=4億円ということになります。

預貯金2億円から1億円の借金を返済したとして借金がゼロになった場合でも1+3=4億円で、正味財産の財産価値が変わりません。

したがって、単に借金をしても、現金と同額の借入金が存在するだけで相続税が安くなるわけではありませんので注意しましょう。

このほか、固定資産税などの未納の税金があれば、それも債務控除の対象となります。

固定資産税は、毎月1月1日現在で固定資産を所有していた人に課税されますが、この固定資産税の納税通知書は4月頃に郵送されてくるので、被相続人が2月や3月に亡くなった場合には、固定資産税をおさめずに亡くなったことになります。

この場合には、相続人が固定資産税を納めることになりますので、被相続人の債務として、相続財産から控除することになります。

(2) 控除の対象とならないもの

債務控除の際に注意しなければならないのが、墓地や仏壇の前払い金などの「非課税財産」は債務控除の対象にならないという点です。

たとえば、被相続人が生前に200万円の墓地を買って、その代金を支払う前に亡くなったとします。この場合、相続人は被相続人に代わってその200万円の代金を支払うことになります。しかし墓地や仏壇などの祭祀用財産は、そもそも非課税財産(相続税がかからない財産)なので、債務控除の対象とはならないのです。

① 葬儀費用も控除対象

相続が開始し葬儀を行った場合の葬儀費用も、債務控除として相続財産から差し引かれることになります。

ただし、葬儀費用のすべてが控除の対象となるわけではなく、香典返しや初七日法要などの費用は葬式費用には該当しないので注意しましょう。

香典返しは葬儀を出した際に必要不可欠なものなので、債務控除の対象として良いように思いますが、香典という収入には税金が課税されません。

そこで香典という収入に課税しないかわりに、香典返しとして支出した費用も債務控除の対象とならないことになったのです。

何が控除対象となるのかについては、税理士に質問しておくとよいでしょう。

②葬儀費用として債務控除の対象となるもの

* 埋葬、火葬、納骨などする際にかかった費用

* 葬儀の際のお布施のうち、被相続人の社会的な地位から判断して相当と認められるもの*

* 通常、葬式に伴うだろうと認められるもの(消耗品、雑費、手伝いの方への心付)

* 遺体の捜索、運搬にかかった費用

③葬儀費用として債務控除の対象とならないもの

* 香典返しや初七日法要、四十九日法要にかかった費用

* 後や仏壇などの購入費用(非課税財産なので)

* 医学上、裁判上の特別な措置にかかった費用

2. 借金の方が多い場合は「相続放棄」

被相続人が保証人になっていたり、経営する会社が赤字で多額の借入を行っていたなどの事情があり、プラスの財産よりマイナスの財産のほうが多い場合には、無理せず相続放棄を選択したほうが良いでしょう。

相続の放棄をすると、その人ははじめから相続人ではなかったことになりますので、被相続人の借金を支払う必要はありません。

相続放棄の手続き

相続放棄をするためには、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出する必要があります。

申述書を提出すると、1週間ほどで「相続放棄申述についての照会書」が郵送されてきます。いくつかの質問事項が記載されていますので、これに応えて返送します。

相続財産がプラスになるのかマイナスになるのか分からない」という場合には、「限定承認申述書」を家庭裁判所に提出するとプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を受け継ぐことが出来ます。

なおこれらの手続きをするためには期限があるので、早めに相続問題に詳しい税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続放棄についての詳細は、下記の記事でご確認ください。

知らなきゃ大損に!?相続放棄7つのポイント