遺贈を放棄する「遺贈放棄」相続放棄との違いは?

遺贈を放棄する「遺贈放棄」相続放棄との違いは?

相続放棄は相続に関する権利を放棄することを言い、遺贈放棄は遺贈による財産の取得を放棄することを言います。

相続放棄と遺贈放棄は似ているようで違いがあり、相続放棄を行っていても遺贈放棄をしていなければ遺贈によって財産を取得することになります。

遺贈放棄と相続放棄の違いをご説明します。


遺贈を放棄する「遺贈放棄」相続放棄との違いは?

1.遺贈放棄と相続放棄の違いとは?

相続と遺贈の違い

(1)遺贈放棄とは

遺贈とは、遺言によって財産を相続することを言います。相続は相続人となる人が財産を取得しますが、遺贈の場合には相続人以外が財産を取得するということも考えられます。

遺贈には遺贈する遺産の割合を定めている包括遺贈と遺贈する財産が指定されている特定遺贈の2つがあり、放棄する方法に違いがあります。それぞれの放棄の方法は後ほど詳しくご説明します。

(2)相続放棄とは

財産を所有している方が亡くなり、その財産を引き継ぐことを相続と言います。そして、その相続の権利を放棄することを相続放棄と言います。相続財産は積極財産やプラスの財産と呼ばれる預貯金や有価証券、不動産などの他に消極財産やマイナスの財産と呼ばれる負債なども含まれます。

相続財産が消極財産しか無いような場合には相続放棄を選択することで消極財産を引き継ぐ必要が無くなります。また、相続争いを防ぐために相続放棄を選択するというパターンも考えられます。

相続放棄を行う場合には、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申述を行います。相続放棄は相続があったことを知った日から3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。

相続放棄についての詳細は下記をご確認ください。

知らなきゃ大損に!?相続放棄7つのポイント

2.包括遺贈の放棄

包括遺贈は「遺産のすべてを遺贈する」または「遺産の◯/◯を遺贈する」のように取得する財産の割合が示されているケースです。この場合には、積極財産も消極財産もどちらも引き継ぐ必要があります。

包括遺贈の放棄の期限

包括遺贈を放棄する場合には、相続放棄と同様に家庭裁判所にて包括遺贈の放棄の申述を行います。放棄が可能な期限についても相続放棄と同様に遺贈があったことを知った日から3ヶ月以内となります。包括遺贈の放棄を行った場合、遺言によって指定された財産を取得する権利は無くなります。

包括遺贈の放棄の手続き

3.特定遺贈の放棄

特定遺贈は現金や不動産など遺贈する財産を指定しているケースです。特定遺贈の場合には、指定された財産のみを取得することになるため消極財産を受取るということは一般的にはありません。

特定遺贈を放棄する場合には、包括遺贈の放棄のように家庭裁判所にて申述を行う必要はありません。他の相続人や遺言執行者に遺贈を放棄する旨を伝えるだけで放棄することができます。

口頭で伝えても問題はありませんが、後々トラブルとなることを避けるためには内容証明郵便など証拠が残る形で伝えるようにしましょう。

特定遺贈の放棄のポイント

特定遺贈の放棄には放棄の期限が定められていませんので、相続が確定するまでに放棄する旨を伝える必要があります。うっかり放棄を伝え忘れて相続が確定してしまうと承認したことになってしまうので、放棄する場合には早めに伝えるようにしましょう。一度、承認が確定するとその後に放棄することは出来ません。

4.相続放棄した人が遺贈も放棄する場合

相続放棄≠遺贈放棄

相続放棄と遺贈放棄の違いについてはご説明しましたが、相続放棄した人が遺言によって遺贈の対象となっていた場合、相続放棄しているから関係ないと考えがちです。しかし、相続放棄と遺贈放棄は別扱いとなります。相続放棄をした人が遺贈を受けた場合に、遺贈も放棄するのであれば相続放棄の他に遺贈放棄も行う必要があります。

【信義則違反や詐害行為と判断されることもある】

被相続人が債務超過など明らかに債務が多いというケースで、消極財産を相続しないために相続放棄を行い、積極財産だけを相続するために遺言で特定遺贈をしてもらうなどの行為を行った場合、信義則違反や詐害行為と判断される可能性があります。

まとめ

相続放棄をしていても遺贈によって財産を取得することになるということは十分にあり得ます。相続放棄をした後に遺贈が発覚した場合に遺贈も放棄するのであれば遺贈放棄についても手続き等を行う必要があります。被相続人の債務の存在を認知しており、積極財産だけを取得したいから特定遺贈となる遺言を残してもらうというような都合の良い考えは信義則違反となりますので絶対にしないようにしましょう。


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