相続の争いは年間1万件以上発生している!?

相続の争いは年間1万件以上発生している!?

 相続の争いはどんな場合に起こるのかと気にしている方は多いのではないでしょうか?毎年100万人以上の死亡者数があり、その中で遺産分割に関する調停事件は約1万件、審判事件は約2,000件あり、約1%の方が争っているのが現状です。顕在化しないものを含めればさらに多くの相続争いが起こっていることが予想されます。今回の記事では、こちらについてご紹介します。


相続の争いは年間1万件以上発生している!?

1.相続争いの原因は?

原因1

相続財産の争いの原因は、『お金』の問題がほとんどです。お金は人を変えてしまうことがありますので、本当に恐ろしいですね。
相続財産が全て『お金』であれば、上手く分けられることが多いため、あまり争いにはなりません。
相続財産現金のみなら円満

相続財産の争いが起こるのは、『不動産』が相続財産に含まれている場合が一番実務上多いと言われております。とくに、相続財産が不動産しかなく、その不動産が居住用の住宅であり、そしてそこに相続人の一人が居住しているような場合に、相続争いが起こりやすいのです。

相続財産が居住している不動産のみなら?
例えば、父が死亡し、その遺産が時価1億円の土地付き建物と、現金2,000万円だったとします。相続人は、母と子供2人(長男・次男)の合計3人です。
 
次男が不動産売却を要求
 
母と長男夫婦が両親と同居して長男の妻が母の面倒を見ている場合、次男が1億円の土地付き建物を売却して遺産分割を要求した場合には、長男夫婦の反対で、争いが発生することが予想されます。
 
この相続では、法律上、相続分が認められているため、次男も家の1/4を分けるように請求できることになっています。しかし、長男としては、ずっと母と同居で生活していた場所です。1/4を欲しいと言われても納得できるものではないでしょう。

※誰がどれだけもらう権利があるか(相続分)については、相続分を知らないと本来の取り分が貰えない可能性も!?をご覧ください。

この例でお気づきの人がいるかもしれませんが、相続争いが多いのは、いくつも不動産を持っており相続財産がたくさんあるお金持ちではなく、実はむしろマイホームを持った中流家庭クラスの一般的なご家庭の方が多いのが現状です。

※相続人について詳しく知りたい方は、5分でわかる!相続する人(相続人)って誰?をご覧ください。

原因2

相続人がたくさんいる
両親が離婚、再婚、養子縁組、愛人や愛人の子供がいるなど、家庭環境が複雑な場合には、相続人の意見がまとまらない可能性が高いので、争いになることが予想されます。
こちらについては、想像通りかと思いますが、ほとんど面識がない方々が遺産分割協議をする必要がある場合には争いになることが多いです。
 
遺産分割協議については、意外とモメる遺産分割【遺産分割協議とは?】をご覧ください。

原因3

相続人同士のコミュニケーション不足で、争いが発生するケースは実務上多いです。例えば、相続人が二人(長男、次男)だったとします。どのように財産を分け合うかを決める遺産分割協議を行う際に、どちらか一方が主導権を握ることが多いのですが、実務上長男が主導権を握ることが多いです。その際に、次男は、長男に不満を持つことが多く、争いに発展するケースがあります。

【次男が持つ不満の代表例】

次男の不満

(1)スケージュールがわからないので不満になる

 相続税の申告期限は10ヶ月ですが、いつ申告をするのか。いつ財産を相続できるのか。いくら相続できるのか。これらを何を知らされない次男は不満を抱くでしょう。

(2)長男の方が取り分が多いのでは?と次男が疑うことで、不満になる

 何も報告されないと、長男の方が取り分が多く、有利に相続するのでは?と次男が疑い始めるケースは多いです。

原因4

次男の嫁の不満

 相続人以外が口を挟んでくると争いに発展するケースは多いです。例えば、相続人の配偶者が、相続する財産について、口を挟んでくると非常にややこしくなり、争ってしまった事例がありました。

原因5

前妻の子が名乗り出る

 突然、相続人が出てきた場合には、争いが発生する可能性が高いです。例えば、相続太郎(父)は、過去に離婚しており、その離婚した方との間に子供がいたとします。その子供と、相続太郎は一緒に暮らしていなかったとしても、相続太郎の子供に違いありません。そのため、相続太郎が死亡した場合には、その子供も相続人となります。この子供がいきなり相続人として登場すると争いが発生する可能性が高いでしょう。

2.相続争いの件数は?

では、実際どの程度、相続に関する争いが起きているのでしょうか?
 
「平成24年度司法統計」(最高裁判所)によると、家庭裁判所への相続関係の相談件数は、 この10年で約1.9倍に増加しています。また、遺産分割事件の件数(家事調停・審判) も、この10年で約1.4倍に増加しています。
 
相続相談件数と遺産分割事件数の10年前との比較
 
調停事件は約1万件、審判事件は約2,000件程度で、毎年約100万人の死亡者が出ていることから全体の1%は相続で争っていることとなります。
相続税の対象者は死亡者の約4~5%の4~5万人なので、相続税の対象者のうち20%以上の方がもめているのです。
 
お金は人を変えてしまうのですね。

3.争いにならないようにするためには?

(1)遺言で争いを防ぐ 

 相続時の争いを回避するためには、遺言書が必要でしょう。遺産争いは決してお金持ちの問題ではなく、あなたがマイホームを保有しているのであればモメる可能性があります。そのため、相続財産をたくさん持っていなくてもマイホームを保有しているのであれば遺言書は作成すべきでしょう。

遺言の関連記事を記載しておきます。

(2)生命保険で争いを防ぐ

代償分割のお金を用意するために生命保険を使う方法があります。

相続財産が居住用の不動産のみという場合で、相続人2人(兄・弟)がいたとします。兄は、居住用の不動産を貰いたいと主張し、弟はお金が欲しいと主張しました。相続財産が不動産しかなければ、兄弟間でもめてしまいます。

この際に、争いを解決させるために代償分割という分割方法があります。
代償分割とは、兄が不動産をすべて相続するかわりに、弟に自分(兄)の財産をあげる分割方法です。
渡す財産は一般的に現金を渡します。
この現金を用意するために利用しやすいのが生命保険です。

不動産を相続したいと言っている兄を生命保険の受取人にして保険に加入しておくことで、その保険金で現金を用意することができ、
その弟にお金を払うことで、現金が欲しかった弟も納得するはずです。

この方法の仕組みをさらに詳しく解説してしまうと非常に難しくなってしまうためこれ以上は割愛させて頂きます。とりあえず、代償分割をするために生命保険を利用すると、争いを防ぐことが可能なケースがあるということを覚えておきましょう。

分割方法の補足


相続財産を現金化して分割する『換価分割』の論点とは?

4.争いになった場合の解決方法は?

 調停でも利用されている解決方法を挙げたいと思います。
※調停とは. 生活の中で生じる身近なトラブルやを抱えてお困りの方のために、裁判所の調停機関が、間に入って話し合いにより、妥当な解決を図る制度です。
下記を参照ください。

(1)解決方法1 代償金による解決

 代償金の方法とは、遺産分割において特定の相続人に財産を優先的に相続させる代わりに、その相続人は他の相続人に代償金として金銭等を支払う方法です。簡単に言えば、お金を支払って解決させます。
こちらの注意点は、遺産分割協議に記載しなければならないということです。
例えば、「相続人鈴木太郎は、親の自宅である土地建物を全部相続する代わりに、相続人次郎に500万円の現金を支払うこととする」という方法です。
 代償金による解決を行う場合の注意点は、自分の相続分以上の財産を代償金でもらう場合は、贈与税の問題となりますので注意が必要です。
相続分の範囲でお金をもらう場合には、相続税の対象となります。

相続分を超えてお金をもらう場合には、贈与税が対象です。

※相続分について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

(2)解決方法2 相続分の譲渡

 代償金の方法と似た方法として、自分の相続分を他の相続人に譲渡する方法があります。 これは遺産協議する前に行わなければなりません。相続分の譲渡をした相続人は、遺産分割に参加しなくてもよいので、遺産分割がスムーズに行うことができます。

※相続分の譲渡についてはこちらの記事の3以降に詳しく記載しておりますのでご覧ください。

(3)遺留分の放棄

 被相続人の兄弟姉妹以外の相続人(子供または親など)は、遺留分の権利を保有しています。したがって、遺言で財産を指定しても、遺留分を侵害してまで財産を指定することができません。
なお、遺留分権利者は、相続開始前に家庭裁判所の許可を得れば、遺留分の放棄をすることができます。遺産分割の争いを避けたい方は、この遺留分の放棄も一つの方法です。
しかし、遺留分の放棄は、遺留分権利者が家庭裁判所で行うものです。つまり、自分自身で行わなければなりません。
したがって、家庭裁判所では、遺留分の放棄が他の被相続人の圧力によるものでないかどうかなどを慎重に判断して遺留分を放棄させるかどうかを決定します。
放棄についての関連記事は以下の通りです。ご参照ください。

(4)弁護士に依頼する

 相続の争いは、人生で何度も経験することではありません。どの選択が一番ベストなのかがわからないことも多いと思いますので弁護士さんに相談して全てを任せることも選択肢の一つではないでしょうか?

まとめ

 相続税の争いは、年間に約1万人も発生していることから、相続財産がある方でとくに、マイホームを保有している方は注意が必要です。前もって遺言をしっかり作成しておくことが争いをさせないためのベストな解決方法なのではないでしょうか?心配な方は、早めに専門家に相談しておくべきでしょう。