相続放棄手続きをするために必要な6つの知識

相続放棄手続きをするために必要な6つの知識

相続放棄手続きをした方が良いのかお悩みではないでしょうか?
よくある質問として「借金まみれの父が亡くなりました。その父の息子である私は、相続放棄の手続きをした方が良いのでしょうか?」このような質問があります。

 父が亡くなれば、その息子は父親の財産を相続します。この「財産」には、不動産や預貯金、株式、現金などプラスの財産だけでなく、借金、つまりマイナスの財産も含みます。つまり、息子は父親に借金があれば、借金も相続するため、原則として、父親の借金を返済しなければなりません。その借金を返済したくないのであれば、相続の放棄をすべきでしょう。
今回は、相続放棄の手続きについてご説明していきます。

相続放棄手続きをするために必要な6つの知識

0.損しないために、相続放棄をする前にやらなければならないこと

チェック

 損しないために、相続放棄をする前に必ず必要なことは、相続財産を全て把握することです。
プラスの財産とマイナスの財産がどれだけあるのかを把握しなければなりません。

プラスの財産が多い場合には大損することはないことが多いですが、マイナスの財産が多い場合、いわゆる債務超過の場合には借金を肩代わりしなければならないため、大損する可能性があります。

被相続人(相続財産を遺して亡くなった方)がいくらの財産、債務があるのかをご自身で把握するのは非常に難しいです。

 難しい理由としては、

①土地がいくらの価値なのかを判定するのが難しい

②名義預金がある場合には、プラスの財産が増加する。 ※

③何が相続財産になるのかを把握しにくいので思ったよりプラスの財産が多いケースがある

※「名義預金」について詳しくは、「名義預金とみなされた場合、相続の納付額は必ず増加します!」をご覧ください。

上記の理由などにより、ご自身でいくらの財産があるかを把握するのは難しいでしょう。
そのため、早めに相続財産がいくらあるのかを把握するためには、相続専門の税理士に計算してもらった方が良いのではないでしょうか。
また絶対に守りたいという資産がある場合には、『限定承認』をオススメするケースもあります。
限定承認につきましたは、

1.「相続放棄」の手続方法

 相続放棄をするには、家庭裁判所に出向き、必要書類とともに届出をしなければなりません。
さらに届出をするだけでなく、家庭裁判所にその届出を認めてもらわなければなりません。

(1)どこの家庭裁判所に届出をするか

 亡くなった方の住民票の届出のある場所を管轄する家庭裁判所に届出をします。
【家庭裁判所の探し方】
東京の方であれば、『東京 家庭裁判所』を検索してください。
検索すると一番上に
上記のサイトが出てきます。

(2)届出の際に必要書類

  •  相続放棄申述書(※下記参照)
  •  亡くなった人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  •  亡くなった人の住民票除票または戸籍附票
  •  届出をする人(相続放棄する人)の戸籍謄本(現在の戸籍)
  •  収入印紙800円分
  •  郵便切手(各家庭裁判所により、切手の金額、枚数等は異なります。概ね1,000円程度です)

※ 場合によっては、届出をする人が亡くなった人の相続人であることを証明するために、多くの戸籍が必要となる場合があります

相続放棄申述書は下記の裁判所のホームページを参考に作成してください。

相続放棄・限定承認・相続の承認,放棄の期間伸長について[裁判所]

こちらの書類は、家庭裁判所に備え付けてある書類です。
相続放棄申述書の詳細は、「1.相続放棄申述書とは?」をご参照ください。

(3)届出の方法

 (2)の書類をそろえ、家庭裁判所に提出します。

(4)家庭裁判所から「照会書」が届く

 間違いなく自分の意思で相続放棄をするのか、またなぜそうするのか等を回答します。
※この照会手続は、各裁判所により方法が異なります。省略したり、逆に面談を要求される場合など様々です。

(5)家庭裁判所に相続放棄が認められると…。

 「相続放棄申述受理通知書」という書類が、家庭裁判所から送られてきます。

(注意点)
相続放棄が認められたとしても、借金の債権者に対して家庭裁判所がその旨を通知してくれるわけではありません。(4)の「相続放棄申述受理通知書」を債権者に提示する(債権者によっては、「相続放棄申述受理証明書(家庭裁判所で別途発行してもらえます)」を求めることもあります)などして、相続放棄した旨を伝えなければなりません。

2.相続放棄に期限はあるの?

いつ 腕時計

絶対に忘れてはならないのが、相続放棄はいつでも出来るというものではなく、期限が定められているということです。
民法という法律の第915条に「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」と定められているのです。

簡単に説明すると、『相続することを知った日から3ヶ月以内」と考えておけば良いでしょう。

3.葬儀が済んだら『相続放棄』をすべきかをすぐ検討しよう!

 『相続することを知った日から3ヶ月以内』に相続の放棄をしなければなりませんので、放棄するまでにほとんど時間がありません。
3ヶ月は短いと思わない方も多いかもしれませんが、皆さんが考えている以上に急いでやらなくては間に合いません。
「四十九日が過ぎてから、ボチボチ手続きやるか…」などと考えていると、アッという間に3ヶ月が過ぎてしまい、手遅れということにもなりかねません。
プラスの財産が多ければ、相続の放棄をしなくても問題にならないケースもありますが、プラスの財産よりも、マイナスの財産が多い場合には、借金を相続人が負担することとなります。
『故人に借金はなかったのか!?』を早い段階で調査することが非常に大切になってくるでしょう。

(注意点)
いったん相続を受けてしまった場合(単純承認をしてしまった場合)は、たとえ3ヶ月経過していなくとも、相続放棄をすることはできません。
相続を受けてしまった場合とは、「故人の不動産を既に売却してしまった」「故人の預金を既に使ってしまった」場合などです。

相続放棄すべきかどうかの判断でもっとも難しいのが、不動産を相続するケースでしょう。不動産の価格がわからなければ、相続放棄が得か損かわからないからです。

不動産価格をすぐに把握する必要がある方は、不動産査定を行うことをお勧め致します。

不動産査定の詳細については、下記をご参照ください。査定することで、相続放棄をすべきか否かの判断がしやすくなるはずですよ!

不動産査定サービスを相続専門の税理士が厳選!ランキング2016

4.相続放棄の期限は延長することが出来るのか?

 相続放棄の期限は、原則として3ヶ月以内ですが、3ヶ月以内に相続放棄をするかどうか決めることが出来ない特別な事情がある場合は、家庭裁判所に「相続放棄のための申述期間延長」を申請して、これが認められると、期間延長をしてもらえる場合があります。

しかし、あくまでも「期間延長をしてもらえる場合がある」というものであり、「申請すれば必ず期間延長してもらえる」というわけではありませんので、早い段階で「相続放棄」の手続をするに越したことはありません。

5.どんな時に延長申請してもらえるのか?

 相続放棄の期間延長は申請すれば期間延長してもらえるわけではなく、
裁判所が、『延長申請するかどうか』、『どれくらいの期間延長をさせるか』を決定します。
最長で1年6ヶ月の延長が認められるケースもあるようです。
延長を認めてもらうには、ポイントがあり、
  • どうして期間を延長する必要があるのか?
  • どの程度の時間があれば検討の障害事由が解消できるのか?
上記2点を裁判所に丁寧に説明することです。
専門家でなければ対応出来ない部分かと思います。延長申請の実績のある弁護士さんにご依頼することで、延長してもらえるのではないでしょうか?

6.どんな方が相続放棄を検討すべきなのか?

相続放棄を検討した方が良い人というのは、以下のような方です。

  • 亡くなった人(被相続人)が、誰かの保証人になっているかもしれない場合
  • 生前、亡くなった人(被相続人)との交流がなく、生活ぶりがわからない場合(あとから借金がでてくるかもしれない)
  • 無用な相続争いに巻き込まれたくない
  • 亡くなった人(被相続人)に借金はないが、財産が資産価値のない山林や崖地などばかりで売却が難しく、維持費用ももったいない
  • 相続人のひとりに財産を集中させたい(「家長」や「本家」がすべて引き継ぐイメージ)

7.相続放棄手続きを代行してもらうことは出来るのか?

 相続放棄手続きの代行は、ネットで『相続放棄手続き 代行』で検索すれば数多くのサイトが出てくるかと思います。
安いところでは10万円程度で代行を行ってくれる業者もありますので、ご依頼しても良いのではないでしょうか?

8.自分で相続放棄をした場合の失敗事例

相続放棄では、多くの失敗事例があります。

・相続放棄を軽く考えすぎて、結局、期限に間に合わなかった

・3か月以内の期限に間に合わなかったことの「特別な事情」で間違えた

・処分してしまった遺産ついて、裁判所にうまく意図が説明できなかった

・親族全員放棄したかったが、次順位の相続人が地方に散らばっており、うまく取りまとめできなくて、放棄できた人とできなかった人が出てきてしまった。

上記のような失敗をしたないためにも、相続放棄を専門にしている司法書士に頼むことをオススメしております。

まとめ

 相続放棄の手続きについてご理解頂けたでしょうか?相続の放棄手続きは意外と知らない方が多いです。
原則として3ヶ月を経過した場合には放棄したくても出来ない状況となりますので、放棄するか否かの判断は早めに行うようにしてくださいね。