平成27年の相続税改正のすべて

平成27年の相続税改正のすべて

最近「相続税改正」というフレーズをよく聞きませんか。
実は相続税について規定している相続税法は平成27年に大きく改正されました。
相続税大増税のイメージが強い今回の法改正ですが、じつは、減税になるような改正も行われています。もちろん増税もされていますが。。
将来の相続税について心配な方も多いことでしょうから、今回は、平成27年に実施された相続税法の改正についてご紹介します。


平成27年の相続税改正のすべて

1.相続税についての改正の影響

 相続税の大幅な改正は、平成27年1月1日以降の相続について適用されます。じつは、相続税では、改正される前までは、亡くなった方全体の4%ほどしか相続税が発生しない状況となっていました。
国としては、その割合を6%ほどに引き上げることを目標に改正を行ったといわれているのですが、都市部など土地の価格の高い地域ではその割合が10%ほどになるのではないかという試算もあり、非常に大きな増税効果をもたらす改正となっております。
そこで、納税資金を確保しにくい居住用や事業用の宅地についての特例における面積の拡大などで減税することによって急激な増税となることを防いでいるのです。(下記4に詳しく記載)

 ただ、下記2で詳しく説明致しますが、基礎控除額が6割に縮小されてしまった影響は非常に大きく、今後は、特に都市部にお住まいの方を中心に相続税がかかる人が増えると思われますので、相続税対策などを考えていただく必要があると思います。
 「私には今回の改正でどんな影響があるのですか?」というご質問を受けることがありますが、全ての方が影響を受ける改正が下記の2に記載されている内容となります。

2.相続税の基礎控除額の引き下げ

相続税は、誰かが亡くなれば必ず発生するかと言えばそうでもなく、遺産総額が遺産に係る基礎控除額とよばれる金額を超えた場合にのみ発生することになります。

つまり、遺産に係る基礎控除額というのは、いわゆる課税最低限であり、この金額までは相続税はかかりませんということを意味する金額となります。その遺産に係る基礎控除額が平成27年より引き下げられました。基礎控除 改正

たとえば、法定相続人の数が3人であるとするならば、平成26年までは遺産に係る基礎控除額が8,000万円(=5,000万円+1,000万円×3人)となり、遺産総額が8,000万円を超えなければ相続税が発生しませんでした。

しかし、平成27年からは遺産に係る基礎控除額が4,800万円(=3,000万円+600万円×3人)となり、遺産総額が4,800万円を超えると相続税が発生することとなります。

この改正は、ある意味今回の改正の目玉とも考えられる改正であり、新聞、雑誌、テレビなどでも真っ先に取り上げられる内容となっていました。
遺産に係る基礎控除額が以前の6割の金額に引き下げられてしまうことで、今までなら相続税がかからなかった方もこれからは相続税がかかってくるということが多くなると予想されています。

3.相続税の税率の引き上げ

 相続税において税率は、超過累進税率とよばれる制度が採用されていて、この制度は、もらった金額が大きくなればなるほど税率が高くなるというものです。
その税率も平成27年より改正されました。
今までは最高税率が50%だったのですが、平成27年からは55%となり、また、一部の金額については適用される税率が少し上がりました。
ただ、最高税率の改正は、財産を取得した金額が6億円超の場合に適用されるものなのでかなりの資産家の方にしか影響はないかもしれません。

相続税の税率は、国税庁のホームページにも今までのものとの対比で掲載されていますので参考にしてください。
相続税の税率についての詳細は、2015年の相続税の税率は?をご覧ください。

4.小規模宅地等の特例の適用面積の拡大

 小規模宅地等の特例とは、亡くなった方やその家族の事業や居住に使われていた宅地について要件を満たした場合に一定の面積を上限として評価額を最大80%減額してもらえる規定となっています。

その小規模宅地等の特例について、平成26年までは居住に使われていた宅地の減額できる面積の上限は240㎡だったのですが、平成27年からは330㎡へと拡大されました。

また、少し複雑な話になりますが、平成26年までは事業用の上限400㎡と居住用の上限240㎡について、上限に対する割合が100%になるように面積を調整しなければならない規定だったのですが、平成27年からはどちらも上限の面積まで減額できるようになりました。

小規模宅地の特例 改正例えば、事業用300㎡、居住用300㎡の宅地を持っているとして、事業用について300㎡の適用を受けた上で居住用について何㎡受けられるのかを考えると

平成26年までは、事業用について300㎡の適用を受けた場合、適用を受けられる上限の75%(300㎡÷400㎡(事業用の上限))を事業用で使ってしまっているため、居住用に使える面積は残り25%の60㎡(240㎡(居住用の上限)×25%)となっていました。

これが平成27年以降は事業用について300㎡の適用を受けた場合であっても、居住用について上限の330㎡を受けられるため、300㎡の適用を受けることができますので、宅地をたくさん持っている方にとってはうれしい改正となったのです。

このように小規模宅地等の特例に関しては減税の効果がある改正が行われました。
小規模宅地等の特例の詳細は、最大80%評価減を実現させる「小規模宅地等の特例」とは?をご覧ください。

5.未成年者控除・障害者控除の控除額の引き上げ

 相続税では、財産をもらった人が20歳未満であったり、障害者であったりした場合には、一定の要件のもとで未成年者控除や障害者控除といった税金を減額してもらえる規定の適用を受けることができます。

これらの規定は、20歳未満の者の成年に達するまでの養育費を支弁するため、障害者が健常者に比べて多く必要とする生活費を確保するために設けられているのですが、その控除額は次の算式により計算されます。

  • 未成年者控除

    1年当たりの控除額 × 財産をもらった人が20歳に達するまでの年数

  • 障害者控除

    1年当たりの控除額 × 財産をもらった人が85歳に達するまでの年数

この規定における改正は、1年当たりの控除額が平成26年までは60,000円(障害者控除において財産をもらった人が特別障害者の場合には120,000円)だったのですが、平成27年からは100,000円(障害者控除において財産をもらった人が特別障害者の場合には200,000円)となりました。これも減税効果のある改正となっています。

※特別障害者は、どのような方か、下記の国税庁ホームページに記載されておりますので、詳しくはそちらをご確認ください。
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6.まとめ

最近は、新聞や雑誌、テレビなどで相続税の話題が頻繁に見られるようになりました。
また、金融機関などでも相続税に関するセミナーなどが数多く実施されています。
財産をお持ちの方にとっては非常に不安な気持ちになると思いますが、相続対策は早めに始めた方がいいですし、やり方は人それぞれに方法がありますので、気になる方は早めに専門の税理士に相談することをお勧めします。