相続の際に養子がいる場合の全論点

相続の際に養子がいる場合の全論点

相続の際に、養子がいる場合がありますが、養子縁組を行っているか、行っていないかで大きな違いが出てきます。今回の記事では、養子縁組をしているか、していないかでどんな違いがあるか?さらに、養子縁組の中でも、普通養子と特別養子によってさらに違いがありますので、この違いもご説明させて頂きます。

相続の際に養子がいる場合の全論点

1.養子が養子縁組を行うか否かで、どのような違いがあるのか?

概念 アイデア
 
養子縁組をしている
養子縁組をしていない
相続人
なる
なれない
遺留分
あり
なし
相続分
あり
なし
遺留分減殺請求権
あり
なし
代襲相続する権利
あり
なし

養子縁組をしていなかった連れ子や、婿養子などは上記の図を見て頂ければ分かる通り非常に不利になっております。そのため、養子のことを考えれば、養子縁組をしてあげるべきでしょう。
※上記の表に出てくる「相続人」や「遺留分」について詳しくは関連記事をご覧ください。

■関連記事

2.養子縁組を行うための方法とは?

養子縁組を行うためには、『養子縁組届出』を提出するだけでOKです。

届出先は、 養子の本籍地・養親の本籍地・届出人の所在地のいずれかの市町村役場です。

届出の際に必要なものは、

  • 届出書
  • 養親と養子の戸籍全部事項証明(戸籍謄本)
  • 未成年者または後見人が直系卑属を養子にするときは、家庭裁判所の許可書
  • 養親および養子双方の印鑑(養子が15歳未満のときには法定代理人の印鑑)

届出をする人は、養親および養子(養子が15歳未満のときは法定代理人)となります。

3.養子縁組には種類がある

(1)普通養子

一般的な養子を普通養子と呼びます。相続での取扱いは、実の子供と同じで、相続分や遺留分があります。

普通養子になるためには、養子縁組の届出が必要となり、養子を迎える方に配偶者がいる場合には、その配偶者の同意を得て、家庭裁判所の許可が必要となります。

養親より年上の方を養子にはできません。

(2)特別養子

一般的な養子は、普通養子を指しますが、実親の同意があり、かつ、『特別養子の要件』『養親の要件』のどちらも満たした場合には、特別養子と認められます。

【特別養子の要件】

①年齢要件

養子縁組の請求時点で、原則として満6歳未満であること

②要保護要件

実の父母が面倒をみるのが、著しく困難または不適切であること

【養親の要件】

①年齢要件

養親は配偶者を持ち、養父母のどちらかが25歳以上であること

②夫婦共同縁組要件

養親となる方は、配偶者がいなければなりませんし、かつ、夫婦共同で養親とならなければならない

(3)普通養子と特別養子の比較

 
普通養子
特別養子
血縁関係
実親・養親ともに
血縁関係がある
養親との血縁関係のみある
相続人
実親・養親どちらの
相続人にもなる
実親の相続人ではなくなり養親の相続人のみとなる
遺留分
実親・養親どちらの
遺留分もある
実親の遺留分はなくなり、
養親の遺留分のみとなる
相続分
実親・養親どちらの
相続分もある
実親の相続分はなくなり、
養親の相続分のみとなる
遺留分減殺請求権
実親・養親どちらの
遺留分減殺請求権もある
実親の遺留分減殺請求権はなくなり、
養親の遺留分減殺請求権のみとなる
代襲相続する権利
実親・養親どちらの
代襲相続権もある
実親の代襲相続権はなくなり、
養親の代襲相続権のみとなる

 

養子縁組 (普通養子,特別養子)

(4)特別養子はなぜ出来たのか?

実親と子供の親子関係を消滅させるために1987年に作られたものです。実親と親子関係を完全に消滅されることから要件が非常に厳しいものとなっております。

4.養子縁組を行うことでどんなメリットが発生するのか?

①基礎控除額が増える

相続税の基礎控除額は次の算式で求めます。
基礎控除額=3,000万円+法定相続人×600万円

したがって、相続人が1人増えると基礎控除額が600万円増加します。

②生命保険の非課税枠が増える

「1.相続税の節税対策の代表例とは?」の(2)でもご紹介しましたが、相続税の生命保険金の非課税枠は次の算式で求めます。
生命保険の非課税枠=500万円×法定相続人

したがって、相続人が1人増えると、非課税の枠が500万円増加します。

③相続税の税率が下がる

相続人が増えると、相続人1人あたりの受け取り金額が少なくなります。相続税は累進課税制度を採用しており、税金が課される金額が大きくなればなるほど、税率が高くなります。したがって、相続人の人数が増えることにより、1人当たりの取得する財産が減少し、税率の区分が変わって税金が安くなる場合があります。

④死亡退職金の非課税枠が増える

死亡退職金の非課税枠=500万円×法定相続人

したがって、相続人が1人増えると、非課税の枠が500万円増加します。

【注意点】

ただし、法定相続人の数に含めることができる養子の数は制限されております。

ここまで読んで頂いた方は、「養子を増やしていけば、相続税をどこまででも減らすことが可能では?」と感じた方もいるのではないでしょうか?

しかし、相続税を計算する上での養子の人数には、 一定の制限が加えられております。

実の子がいるかいないかによって人数は異なります。

①亡くなった方に実の子供がいる場合

   ⇒ 法定相続人の数に含めることができる養子の数は1人まで

②亡くなった方に実の子供がいない場合

   ⇒ この場合の法定相続人の数に含められる養子の数は2人まで

5.節税目的のための養子縁組は危険?

電話 つながらない

養子縁組は、租税回避目的で行うことは認められておりません。養子縁組が認められるのは、正当な理由があった場合のみです。

【正当な理由とは】

(1)子の嫁は、相続人ではないが、長年看護をしてもらい、その嫁には、相続権がないので、嫁に感謝の意を示すため。

(2)被相続人(亡くなった人)のお墓を守ってくれる孫などに遺産を残すためなど

※正当な理由があれば、結果として節税ができます。

6.養子を受け入れることで元々の相続人にデメリットが生じる?

 元々の相続人は、養子を受け入れることによって、相続人が増加することから、『相続分』や『遺留分』が減少します。そのため、養子を受け入れる際には、相続人の了解を取るべきでしょう。相続人の了解を取らずに養子にすると争いの原因となります。

まとめ

養子の取扱いをご理解頂けたでしょうか?養子縁組しているか否かで論点があり、さらに、普通養子か特別養子かでも論点があります。細かいことは、相続専門税理士に相談すべきではないでしょうか。
【関連記事】