所有者によって手続き方法が違う!相続による自動車名義変更

所有者によって手続き方法が違う!相続による自動車名義変更

相続が発生した場合、相続人が承継する相続財産の内容は、亡くなった人によって違いますが、その中に自動車が含まれていることが多いのではないでしょうか?

自動車を所有している人が亡くなった場合、相続人が権利を承継することになりますが、その際に名義変更の手続きをしなければなりません。

自動車は動産なので、民法178条の規定により引渡しを受ければ、他の者に権利を主張でき、名義変更の必要性はないとも考えられますが、自動車は道路運送車両法5条1項により、他の者に権利を主張するためには登録しなければなりません。そのため相続により権利を取得した時も、しっかりと自動車名義変更をしておく必要があるのです。

少し難しく説明しましたが、とりあえず、自動車を所有している方が亡くなった場合には、自動車の名義変更はしておくべき!ということです。

しかしこの相続による自動車名義変更手続き。所有者によって手続き方法が違います。そこで誰が所有者であるか場合分けしながら、手続き方法を紹介していきましょう。


所有者によって手続き方法が違う!相続による自動車名義変更

1、所有者が被相続人である場合の自動車名義変更

押印

自動車の名義人が被相続人である場合、他の相続財産と同じように、被相続人名義から自動車の権利を承継する相続人名義に移転登録することになります。相続人が複数人である場合と単独の場合の手続き方法や必要書類に違いがあるので、しっかり把握しておかなければなりません。また相続人以外の者に自動車名義変更をする場合、ダブル移転の方法を利用します。

(1)相続人が複数人である場合

相続人が何人いるかは、

相続人は誰になるのか?相続順位を徹底解説をご参照して、ご確認ください。

相続人が複数人いる場合、相続人全員で遺産分割協議をおこない、権利を承継する相続人を決めるか、相続人全員が法定相続分による共同相続することになります。

※遺産分割協議についての解説は、

意外とモメる遺産分割【遺産分割協議とは?】をご参照ください。

自動車名義を共有にするとその後の手続きをする時、名義人全員でしなければならないなど不都合が生じるので、通常は前者の方法で手続きをおこなうことがほとんどでしょう。

遺産分割協議の方法で手続きする場合、遺産分割協議書を作成しますが、そこには、車名・形式、自動車登録番号、車台番号を記載して相続対象となる自動車を特定します。

また、手続きの際、相続人全員の印鑑証明書が必要となるので、遺産分割協議書に相続人全員が署名し、実印で捺印しなければなりません。

それから自動車の価格が100万円以下で、遺産分割協議で相続人の一人が単独相続する場合、遺産分割協議書に変えて遺産分割協議成立申立書を提出して手続きできます。

この書類には、自動車の権利を承継する相続人だけ署名、押印すればよく、また手続きに必要な書類も被相続人と当該相続人のものだけとなります。そのため他の相続人の協力も必要ないので、簡易に手続きが進められるでしょう。

(2)相続人が単独である場合

相続人が一人しかいない場合は、基本的にその相続人が被相続人の権利義務をすべて承継します。そのため相続財産である自動車もその相続人名義に移転登録します。相続人が複数人いる場合のように遺産分割協議をする必要もありません。

(3)相続人以外の人に権利を承継させる場合

亡くなった人が所有していた自動車の権利を相続人以外の人に承継させたい場合もあるでしょう。このような場合、被相続人から相続人名義に移転登録し、その後相続人から権利を承継する相続人以外の人に移転登録するという二段階の手続きが必要になります。

しかし二つの手続きに必要な書類が整っていれば、二度する必要はなく、一度の機会で済ませてしまうことが可能です。この手続き方法のことをダブル移転といい、相続財産である自動車の権利を相続以外の人に承継させる時によく利用します。

(4)相続による自動車名義変更の申請と必要書類

相続による自動車名義変更手続きは、申請書と必要書類を運輸支局又は自動車検査登録事務所に申請しておこないます。申請先の管轄は相続人の使用の本拠となる場所となっています。被相続人の使用の本拠となる場所から変更になる場合、ナンバープレートを変更しなければならないので、申請書と必要書類の他、手続き対象の自動車も持ち込まなければなりません。また相続による自動車名義変更手続きは、所有者変更の事由があった日、つまり相続が開始した日から15日以内におこなう必要があると道路運送車両法13条1項に規定があります。

相続による自動車名義変更に使用する申請書は移転登録申請書、自動車検査証記入申請書です。名義変更によって、自動車検査証の記載事項が変更になるので、移転登録だけでなく、自動車検査証記入申請も必要になります。
また手続きをする際、上記申請書と共に、以下の書類を提出しなければなりません。

  • 被相続人の出生から死亡までの期間の戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書(相続人が複数で遺産分割協議による場合)
  • 遺産分割協議成立申立書(相続人の一人が単独相続し、価格が100万円以下の場合)
  • 自動車検査証(有効期限内であるもの)
  • 車庫証明書(被相続人と権利を承継した相続人の住所が違う場合)
  • 手数料納付書

また自動車名義の変更があった場合、移転登録をした時に、自動車取得税、自動車税の申告又は報告が必要となります。そのため移転登録手続きの際に自動車取得税・自動車税の申告書又は報告書の提出が必要となります。ただ相続による取得の場合、自動車取得税に関しては非課税です。

2、所有者が販売会社やローン会社である場合の自動車名義変更

男性 車

自動車を購入する場合、基本的に数百万円単位のお金が必要となります。ある程度資産を持っている人であれば、現金一括で購入できますが、一般的に数百万円単位のお金を一度に出すのは、難しいと言えるでしょう。そのためローンを組んで自動車を購入する人も少なくありません。

ローンを利用して自動車を購入すると名義人は販売会社やローン会社となっており、購入した人は使用者という形になっています。ローンで自動車を購入した人が亡くなったしまった場合、上記で述べた被相続人名義の場合の手続きを利用できません。

そこでこのような場合、所有権解除の方法を利用します。これはローンを完済させて、名義を使用者に移すことです。この手続きをするためにはローン完済が条件ですが、亡くなった人にまとまった現金や預貯金があれば、それらを利用することでローンを完済させることができるでしょう。所有権解除をすると名義が使用者に移り、相続によって自動車の権利を承継した人の名義にすることができます。

またどうしてもローンを完済できない場合は、自動車の使用者という立場の変更手続きをおこないます。これによって権利を承継した相続人が引き続き利用できます。ただ残っているローンの支払いをローン会社と相続人全員でどのようにするか決めていく必要があります。

まとめ

状況によって、名義変更の方法が異なることをご理解頂けたでしょうか?

自動車の名義変更は、しなくても法律上は問題ないのですが、しないことで、勝手に売却されてしまったり、売却したくても売りにくくなることがありますので、早めに名義変更しておくことをオススメ致します。